2026年7月1日、株式会社NTTファシリティーズは、ハイパースケーラー向け大規模データセンターの新たな建築手法「Hyper Ready Module™」の開発に着手したと発表した。建物や設備をモジュール化し、工場で生産した部材を現場で組み立てることで、申請から設計、建設までの期間を従来比で最大約50%短縮し、約2年での完成を目指す。
約2年で完成へ、DC建設を大幅短縮
生成AIの普及やクラウドサービスの拡大を背景に、データセンター需要は世界的に急増している。一方、日本では耐震基準への対応や各種申請、建設業界の人手不足などにより、設計開始から竣工まで3〜4年を要するケースが一般的となっている。さらに、建設期間中にAIサーバーの仕様が変わり、設計の見直しが発生することも課題となっている。
NTTファシリティーズは、こうした課題を解決するため、建物や設備をモジュール化し、工場で製造した部材を現場で組み立てるプレファブリケーション方式を採用した「Hyper Ready Module™」の開発を開始した。設計から施工までの工程を標準化することで、申請・設計を約1年、建設を約1年とし、プロジェクト全体を約2年で完了させる構想だ。
建築面では、基礎や鉄骨、外壁などを工場生産するシステム建築(※1)を採用するほか、空調設備や電源設備もユニット化する。また、設備配管や配線を工場で組み立てるDfMA(※2)を導入し、現場作業を削減することで施工効率を高める。さらに、設備の制振化とデータホール床の免震化を組み合わせた構造を採用し、高い耐震性能と短工期の両立を図るとしている。
※1 システム建築: 建物の主要部材を標準化し、工場で製造して現場で組み立てる建築工法。品質の均一化と工期短縮が期待される。
※2 DfMA: Design for Manufacture and Assemblyの略。製造・組み立てを前提に設計することで、施工効率や品質の向上、工期短縮を目指す手法。
AI時代の競争力向上へ期待、実現には課題も
今回の取り組みが実現すれば、AI向けデータセンターの供給スピードは大きく向上する可能性がある。建設期間が短くなれば、急速に進化するGPU(※3)など最新サーバーの仕様を反映しやすくなり、ハイパースケーラーの設備投資にも柔軟に対応しやすくなる可能性がある。国内のAIインフラ整備やクラウド基盤の拡充を後押しする可能性も期待される。
一方で、短工期の実現には標準設計の適用や設計・施工一括契約、長納期機器の安定調達など複数の前提条件がある。資材価格の変動やサプライチェーンの混乱が生じれば、計画どおりに進まない可能性も否定できない。
NTTファシリティーズは、データセンター事業者や関係機関と連携しながら具体化を進め、2028年度中の実現を目指す。AI需要の拡大が続くなか、建設の標準化とモジュール化が、日本のデータセンター開発における新たなモデルとなる可能性があるのか、今後の展開が注目される。
※3 GPU: 画像処理向けに開発された演算装置。現在は生成AIの学習や推論を高速処理する中核半導体として広く利用されている。
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