東京都生活文化局は「悪質事業者通報サイト」の2025年度実績を発表した。悪質商法に関する通報は620件、誇大広告は703件、架空請求は312件に上り、都民からの通報が行政処分や指導につながった。
悪質商法620件、偽サイトが最多
2026年6月11日、東京都は、悪質商法、誇大広告、架空請求に関する都民からの情報を受け付ける「悪質事業者通報サイト」の2025年度実績を公表した。
通報件数は、悪質事業者に関するものが620件、誇大広告が703件、架空請求が312件となり、消費者被害の入口が対面営業からネット広告、SNS、メールへ広がっている実態が改めて示された。
悪質商法では、通信販売に関する通報が231件と最多で、全体の約4割を占めた。次いで訪問販売が123件となり、従来型の勧誘被害もなお残っている。
内容別では偽サイトが126件と最も多く、定期購入・サブスクリプションが35件、レスキュー商法(※)が32件、点検商法が22件と続いた。
通報は実際の行政対応にも結びついている。2025年度は、悪質商法で業務停止命令などの行政処分が3件、行政指導が26件あった。誇大広告でも8件の行政指導が行われ、架空請求では9件の事業者名等が公表された。
具体的な手口としては、無料点検を装った高額契約、化粧品のお試し購入から定期契約へ誘導するケース、根拠の乏しい満足度表示などが挙げられる。
※レスキュー商法:水漏れ、害虫駆除、鍵の解錠など緊急性の高い困りごとにつけ込み、広告より大幅に高い料金を請求したり、不安をあおって追加契約を迫ったりする商法。
通報制度はデジタル被害対策の要に
今回の実績は、消費者行政において通報データの価値が高まっていることを示す。被害相談は個別救済の入口である一方、通報は悪質な表示や勧誘のパターンを把握し、行政処分、指導、注意喚起へつなげるための社会的なセンサーとして機能する。とくに偽サイトやSNS広告は拡散速度が速く、早期発見の重要性が大きい。
メリットは、都民が見つけた不審な事業者情報を行政が集約し、被害の拡大防止に生かせる点にある。誇大広告ではインターネット広告やSNS広告が622件と約9割を占め、優良誤認表示が594件に達した。
広告審査やプラットフォーム対応だけでは追い切れない領域を、利用者からの通報で補完できる可能性がある。
一方で、通報制度だけで被害を防ぎ切ることは難しい。偽サイトや架空請求は事業者の実態把握が困難な場合もあり、海外サーバーや匿名性の高い決済手段が絡めば、処分や返金までの道のりは長くなる。
通報後の対応速度、事業者名公表の分かりやすさ、消費生活センターとの連携は今後の課題だ。
今後は、行政による監視と市民参加型の情報提供を組み合わせた消費者保護がさらに重要になる。AI生成広告や自動化された詐欺メールが増えるなか、悪質商法対策は単なる生活防衛ではなく、デジタル社会の信頼基盤を守る取り組みになっていくだろう。
東京都都庁総合ホームページ 悪質事業者通報サイトの通報概要(令和7年度)
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