2026年6月4日、ぐるなびは、生成AIを活用した飲食体験アプリ「UMAME!(うまみー!)」において、ユーザーのその時の気分や目的に応じて飲食店を提案する新機能の提供を開始した。検索条件を入力して店を探す従来型から、AIが最適な候補を提示する新たな外食体験への進化として注目を集めている。
AIが“今の気分”を理解し最適な店を提案
今回追加された機能は、外出先で「今すぐ店を決めたい」というニーズに対応することを目的としている。ユーザーは「誰といるか」「今の気分」「利用目的」といった項目を選択するだけで、AIエージェントが状況に応じた飲食店を提案する仕組みだ。
従来の飲食店検索は、エリアやジャンル、価格帯など複数条件を入力し、多数の候補から比較検討することが前提だった。一方で、実際の外食シーンでは「近くで気軽に飲みたい」「少し落ち着いた店に入りたい」といった曖昧な要望から店を探すケースも少なくない。
ぐるなびの調査によると、直近半年以内にWebサイトやアプリで飲食店を探した人の28.6%が「情報が多すぎて選ぶのに時間がかかる」と回答した。新機能はこうした課題を解消するために開発されたものであり、検索行為そのものを省略する発想が特徴となる。
また、現在地と連動した地図ベースのUIを採用したことで、ユーザーは周辺店舗を直感的に把握できるようになった。さらに、お気に入り店舗を保存するコレクション機能も搭載されており、利用を重ねるほどAIが好みを学習し、提案精度が向上する設計である。
飲食店選びは検索から対話型へ進化するか
今回の取り組みは、飲食店検索サービスのあり方そのものを変える可能性を持つ。近年は生成AIを活用したパーソナライズ技術が急速に普及しており、ユーザーが条件を入力するのではなく、AIが意図を推測して提案するサービスが増加している。
ぐるなびは今後、個人の好みを学習したAIエージェント同士が連携する機能の開発を進める方針を示している。複数人で食事をする際、それぞれの嗜好や過去の利用履歴を踏まえた上で最適な店舗を提案できれば、幹事による店選びの負担軽減にもつながるだろう。
一方で、AIによる提案が強くなるほど、ユーザーが触れる店舗情報が限定される可能性もある。アルゴリズムの判断基準が不透明な場合、特定店舗への偏りや新規店舗の発見機会が減少する懸念も考えられる。
スマートフォン上で膨大な候補を比較する行為に疲れを感じる消費者は少なくない。AIが個人の好みや状況を理解し、その場で最適解を提示する体験は、飲食業界だけでなく旅行や小売、エンターテインメント領域にも波及する可能性がある。
UMAME!の新機能は、検索中心だったデジタル体験が「対話による意思決定支援」へ移行する流れを象徴する事例と言えそうだ。