2026年5月28日、Osaka Metroは、AI最適化技術を活用した乗務行路作成システムを6月1日から導入すると発表した。これまで手作業で行っていた乗務員の勤務計画作成を自動化し、作業期間を大幅に短縮する。人手不足への対応と働き方改革を両立する先進事例として注目を集めそうだ。
AIが乗務員シフトを自動設計
Osaka Metroが導入する新システムは、列車ダイヤや労働条件などのデータを基に、最適な乗務行路(※)を自動作成するものである。これまで運転士や車掌を全列車へ割り当てる作業は人手で行われており、ダイヤ改正時には約3か月を要していた。
新システムの活用により、この作業期間は約2週間まで短縮される見込みだ。ダイヤ改正全体の準備期間も短くなり、旅客需要の変化に応じた柔軟な運行計画の策定が可能になる。
背景には、少子高齢化による労働力人口の減少という社会課題がある。鉄道業界でも人材確保が難しくなる中、AIによる業務最適化は生産性向上の有力な手段になりつつあると言える。
Osaka Metroは2027年度末までに、ニュートラムを除く全路線の乗務行路を本システムで作成したものへ移行する方針だ。
※乗務行路:運転士や車掌が1日の勤務で担当する列車や発着時刻、担当区間などをまとめた勤務計画。安全かつ正確な運行を支える重要な業務設計情報を指す。
鉄道業界のAI活用拡大なるか
今回の取り組みは単なる業務効率化にとどまらない。作成期間が短縮されることで、育児や介護に伴う短時間勤務など、多様な働き方を想定したシミュレーションも実施しやすくなる。従来は調整負荷が高かった勤務形態にも柔軟に対応できる可能性がある。
一方で、AIが作成した計画の妥当性や現場運用との整合性を継続的に検証する仕組みは欠かせない。鉄道運行は安全性が最優先であり、最終的な判断には人間の知見が求められる場面も残るだろう。
それでも、慢性的な人手不足に直面する公共交通業界にとって、AIによる最適化技術は今後の重要な選択肢となりそうだ。成功事例として定着すれば、鉄道以外にもバスや物流などのインフラ分野へ波及する可能性がある。
大阪発の取り組みが、日本の交通インフラ運営のあり方を変える契機になるかもしれない。