米Axiom Spaceと伊Pradaは、次世代月面宇宙服向けの冷却・換気インナーを発表した。宇宙飛行士が50年以上ぶりに月面を探索する時代を見据え、ファッションと宇宙技術の融合が進む。
月面宇宙服の内側をプラダが設計
2026年6月7日、Axiom SpaceとPradaが公開したのは、Axiom Extravehicular Mobility Unit、通称AxEMU(※)の内側に着用するLCVGである。LCVGは「Liquid Cooling and Ventilation Garment」の略で、宇宙飛行士の体温管理と換気を担う高機能インナーになる。
Pradaは、エンジニアードニットや高機能素材に関する知見を提供した。
さらに、長期ミッションで繰り返し着用できる特殊繊維の特定と調達にも関与しており、単なるブランド協業ではなく、素材開発と設計思想の面で宇宙服づくりに参加している。
※AxEMU:Axiom Extravehicular Mobility Unitの略。Axiom Spaceが開発する次世代の船外活動用宇宙服で、月面探査など過酷な環境での使用を想定している。
宇宙開発に異業種の設計力が入る
今回の協業のメリットは、宇宙開発にファッション産業の身体感覚と素材設計が加わる点にある。宇宙服は生命維持装置であると同時に、長時間着続けるウェアでもある。動きやすさ、摩耗への耐性、温度調整、再使用性といった要素は、衣服設計の専門性と相性がよい。
また、Pradaの参加は、宇宙ビジネスの裾野が広がっていることを示す象徴的な動きでもある。ロケットや通信、AIだけでなく、素材、デザイン、製造、ブランディングまで含めて、宇宙産業は複合的な市場になりつつある。高級ブランドが月面探査に関わることは、一般層の関心を高める効果も持つだろう。
一方で、ブランド性が先行しすぎれば、技術的な意義が見えにくくなるリスクもある。宇宙服に求められるのは話題性ではなく、極限環境での信頼性だ。
今後は、実際の運用試験や長期使用で、今回のインナーがどの程度安全性と快適性を高められるかが評価の焦点になるだろう。
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