メインコンテンツへスキップ
プロジェクトリサーチ 13分で読める

Meta「Muse Image」公開、画像編集と動画生成はどう変わる?

PlusWeb3 編集部
PlusWeb3 編集部 Web3・AI専門メディア

Metaは2026年7月7日、画像生成AI「Muse Image」を公開し、動画生成AI「Muse Video」を先行公開しました。Muse Imageは、文章から画像を作るだけでなく、必要に応じて検索やコードを使い、作った画像を自分で見直して直せる点が特徴です。細かな画像編集や、複数の参考画像を一つにまとめる作業にも対応します。Muse Videoは、映像と一緒に音声も作れるモデルとして開発が進められています。

また、Meta AIアプリとmeta.aiで作られた画像には、AI生成画像であることを確認しやすくする「Content Seal」も使われています。画像や動画の作り方がどのように変わり、SNSや仕事での発信にどのような影響を与えるのかを整理するため、本プロジェクトの詳細を考察します。

Metaが発表したMuse ImageとMuse Videoとは

Metaが発表したMuse ImageとMuse Videoは、同社のMeta Superintelligence Labsが初めて開発した画像・動画生成モデルです。Muse Imageは、Metaがこれまでに開発した中で最も高性能な画像生成モデルと説明されています。文章で伝えた内容に沿って画像を作るだけでなく、細かな編集や複数の参考画像を使った制作にも対応します。

Muse Videoは、Muse Imageと同じ事前学習の土台を使って開発された動画生成モデルです。映像の美しさや指示への対応に加え、映像と一緒に音声も作れる点が特徴として紹介されています。ただし、Muse Imageとは提供状況が異なります。

Muse Imageは、発表時点ですでにMeta AIアプリとmeta.aiで利用できます。米国ではInstagramストーリーズでも提供されており、一部の国のWhatsAppでも使えるようになっています。今後はFacebookへの導入も予定されています。一方、Muse Videoは先行公開の段階であり、クリエイターやMeta AI向けに今後提供される予定です。

参照:Meta「Introducing Muse Image and Muse Video」

Muse Imageが自分で考えて画像を仕上げる仕組み

Muse Imageの大きな特徴は、入力された文章からすぐに画像を作るだけではなく、必要な作業を選びながら完成度を高めることです。検索やコードの実行、作った画像の見直しなどを組み合わせることで、見た目だけでなく、内容の正しさにも配慮した画像づくりを目指しています。

コードを使って図やQRコードを正しく作る

一般的な画像生成AIは、雰囲気のあるイラストや写真風の画像を作ることは得意ですが、数字を使ったグラフや、実際に読み取れるQRコードを正しく描くことは苦手でした。Muse Imageは、必要に応じて自分でコードを書いて実行し、その結果を画像の中へ取り込めます。

たとえば、QRコードが必要な場合は、先に正しいコードを作り、読み取れるかを確認してからポスターやイラストへ配置できます。数学的な図形やグラフについても、計算結果をもとに画像を作れるため、見た目だけが似ている不正確な図になる可能性を減らせます。

また、Muse Imageは「Muse Spark」と連携できます。両方のモデルが道具を共有しながら作業を考えることで、動きのあるGIF画像、画像を組み込んだWebサイト、操作して遊べる簡単なゲームなども作れると説明されています。これにより、Muse Imageの役割は一枚の画像を作ることから、実際に使えるデジタル作品を作ることへ広がります。

検索を使って新しい情報を画像に取り入れる

Muse Imageは、必要な情報をWebで検索し、その内容を画像づくりに役立てることができます。流行のファッション、最近起きた出来事、実在する場所、科学的な内容などは、AIが以前に学んだ知識だけでは正しく表せないことがあります。

そこでMuse Imageは、画像を作る前に関連する情報や参考画像を調べ、確認した内容を制作へ取り入れます。たとえば、2026年夏のファッションを使った画像を求められた場合、最近の流行や商品情報を調べてから服装を考えられます。科学的な図解を作る場合も、信頼できる資料を調べ、必要な要素や説明の順番を整理してから画像を作れます。

Metaが行った社内評価では、知識が必要な指示に対して検索を使うことで、画像の内容がより正確になる傾向が確認されています。検索は単に似た画像を探すためではなく、Muse Imageが知らない情報を補い、間違いを減らすために使われます。

作った画像を見直して自分で直す

Muse Imageには、一度作った画像を自分で確認し、問題があれば修正する仕組みがあります。小さな間違いであれば、その部分だけを直します。構図や内容に大きな問題がある場合は、最初から作り直すこともあります。また、知識が足りないと判断した場合は、検索やコードの利用へ切り替えることもできます。

Metaによると、このような動きは、開発者が一つひとつ細かく決めたものではありません。より良い画像を作るための学習を続ける中で、自分の出力を見直して直す動きが自然に生まれたと説明されています。

Metaの社内評価では、画像を作るときに考える時間や処理量を増やすほど、人の好みによる評価が高まる傾向も確認されました。複数の画像を作って、その中から一番良いものを選ぶ方法は、初めのうちは効果があるものの、早い段階で伸びにくくなったとされています。一方、検索や見直しを使いながら丁寧に作る方法では、処理量を増やしたときの効果が続きやすいという結果が示されています。

細かな画像編集と複数の参考画像に対応

参照:Meta「Introducing Muse Image and Muse Video」

Muse Imageは、何もない状態から新しい画像を作るだけのモデルではありません。すでにある写真やイラストの一部を直したり、複数の参考画像に含まれる人物、服、家具、背景などを一枚の画像へまとめたりできます。利用者が完成した画像を確認しながら、会話を重ねて少しずつ仕上げられることも特徴です。

変えたい部分だけを自然に編集する

Muse Imageは、利用者が伝えた内容に合わせて、画像の必要な部分だけを編集できます。たとえば、霧を消して谷の風景を見やすくする、花びらを虹色に変える、看板に書かれた料金や電話番号を書き換えるといった作業が紹介されています。

画像全体を作り直すのではなく、残したい部分と変更したい部分を分けて扱えることが特徴です。写真の外側へ新しい風景を足し、少し離れた場所から撮影したような構図へ変えることもできます。画像の傷みや見えにくい部分を整える修復にも利用できる可能性があります。

これまで細かな画像編集を行うには、専用ソフトの操作方法を覚える必要がありました。Muse Imageでは、どこをどのように変えたいのかを文章で伝えられるため、画像編集に慣れていない人でも作業を始めやすくなります。ただし、複雑な修正では意図どおりにならないことも考えられるため、完成した画像を確認することは必要です。

会話を続けながら同じ雰囲気を保つ

Muse Imageは、一度の指示で制作を終えるのではなく、会話を重ねながら画像を直していけます。公式ページでは、リビングの写真を日本と北欧の雰囲気を合わせた内装へ変更し、その後、元の写真にあった照明や家具を戻し、最後に変更前と変更後を並べた画像を作る例が紹介されています。

別の例では、猫と犬がピクニックをしている画像を作り、その画像をカフェの壁に飾ります。さらに、同じ雰囲気のカフェの外観や紙のメニューを作り、最初に登場した猫と犬の小さなイラストをメニューへ加えています。

このように、同じやり取りの中で、それまでに作った画像や伝えた内容とのつながりを保ちながら、別の場面へ広げることができます。広告や物語の制作では、画像ごとに人物や店の雰囲気が変わると、まとまりがなくなります。Muse Imageを使うことで、共通する世界観を保った複数の画像を作りやすくなると考えられます。

複数の参考画像を一枚にまとめる

Muse Imageは、複数の参考画像に含まれる要素を選び、一枚の画像へまとめられます。人物、自転車、服、靴、家具、壁紙、背景、絵の雰囲気などを別々の画像で示し、それぞれを組み合わせた場面を作ることができます。

たとえば、部屋の写真に別の画像の壁紙を使い、指定した家具や小物を配置し、参考画像の人物に別々の服や靴を身に着けさせるといった、細かな指示にも対応します。文章と参考画像を交互に示せるため、どの画像をどの部分に使うのかを伝えやすくなっています。

この機能は、部屋の模様替えをする前の完成イメージ、服を購入する前の組み合わせ、広告撮影を行う前の構成案などに活用できる可能性があります。

発表時点の2026年7月5日には、Muse Imageは、人の好みによって画像生成AIを比べるArenaの評価で、文章からの画像生成、一枚の画像編集、複数画像の編集の3部門すべてで2位でした。ただし、こうした順位は今後変わる可能性があります。

Muse VideoとContent Sealが示す今後の課題

MetaはMuse Imageの公開と同時に、動画生成AI「Muse Video」も先行公開しました。Muse Videoは、文章で伝えた内容に沿って映像を作り、場面が進んでも人物や物の見た目を保ちやすいモデルとして開発されています。映像だけでなく、環境音、効果音、音楽、人物の声なども一緒に作れる点が特徴です。

公式ページでは、坂を転がるパンダ、雪が降る公園を歩く映像、オレンジを使ったジャグリング、商品の広告など、さまざまな例が紹介されています。映像の流れだけでなく、足音や水の音、商品の注がれる音、人物の話し声なども指示に含められています。

ただし、Muse Videoは完成したサービスとして広く提供されているわけではありません。Metaは、映像内の動きと音声を正しく合わせることや、速い動きを現実に近い形で表すことには、まだ改善が必要だと説明しています。

2026年7月5日時点では、Muse VideoはArenaの文章から動画を作る部門で3位でした。これは人の好みをもとにした評価であり、Muse Videoが一定の品質を持っていることを示しています。一方で、順位は評価の更新や他社モデルの登場によって変わる可能性があります。

Metaは、AIが作った画像かどうかを確認しやすくするため、「Content Seal」という仕組みも使っています。これは画像の見た目には表れない印を付ける技術です。発表時点では、Meta AIアプリとmeta.aiでMuse Imageを使って作られた画像に付けられます。

今後の展望

Muse ImageとMuse Videoは、画像や動画を短時間で作るだけの道具ではなく、人との交流や企業の情報発信、物語や教材の制作にも影響を与える可能性があります。ここでは、Metaの公式発表から考えられる今後の使い方を3つの視点から見ていきます。

友人やファンと一緒に作るコンテンツが増える

今後は、生成AIを一人で使うだけではなく、友人やファンと一緒に作品を作る場面が増えると考えられます。Metaは、Muse ImageとMeta AIの交流機能を組み合わせ、友人と画像を作ったり、Instagramへ投稿した写真を新しい形へ作り替えたりできる使い方を紹介しています。

公開されているInstagramアカウントを指定し、その人物やブランドを参考にした画像を作る例も示されています。この仕組みが広がれば、利用者は完成した投稿を見るだけではなく、元の画像を使って新しい表現を作る側にも回れます。

たとえば、音楽家が新曲の雰囲気を表す画像を公開し、ファンが背景や服装を変えた作品を作ることが考えられます。スポーツチームが試合の写真を公開し、ファンが応援用の画像へ作り替える使い方も考えられます。観光地やイベントでは、用意された背景と来場者の写真を組み合わせ、記念画像を作ることもできるでしょう。

こうした使い方では、企業や有名人が一方的に情報を届けるだけでなく、見る人も制作へ参加できます。コメントや共有に続く、新しい交流方法になる可能性があります。

小さな店舗や企業の情報発信を助ける

Muse Imageは、広告やSNS投稿を専門の制作会社へ毎回依頼することが難しい、小規模な店舗や企業にも役立つ可能性があります。Metaの公式ページでは、小規模な事業者向けの広告素材としてMuse Imageを使う例が紹介されています。

たとえば、飲食店では、一つの商品写真をもとに、ランチ向けの明るい投稿、夜向けの落ち着いた広告、季節限定メニューの案内などを作り分けられます。衣料品店では、商品を異なる背景へ置いたり、季節に合わせた服装の組み合わせを見せたりできます。

宿泊施設や観光事業者であれば、客室、料理、周辺の風景を同じ雰囲気でまとめ、InstagramやFacebookへ投稿する画像を作る使い方が考えられます。複数の参考画像を一枚にまとめられるため、実際に撮影を行う前に広告のイメージを確認する作業にも役立つでしょう。

今後Muse Videoが利用できるようになれば、静止画広告と動画広告を、同じ企画やブランドの考え方に合わせて制作する場面も増えると考えられます。音声や音楽を含む短い動画を作れるようになれば、商品紹介や店舗案内などの表現も広がります。

画像・動画・音声を使った物語づくりが身近になる

Muse Videoは、Muse Imageと同じ事前学習の土台を使って開発されています。そのため将来は、画像、動画、音声を使った作品を、より少ない人数でも作りやすくなる可能性があります。

たとえば、絵本を作る人が登場人物や舞台の画像を作り、その雰囲気をもとに短い映像や音声付きの紹介動画を制作する使い方が考えられます。商品の広告では、最初にポスター用の画像を作り、同じ考え方や色の組み合わせを使って、SNS向けの短い動画や店頭画面用の映像を用意できるかもしれません。

教育の分野では、歴史上の出来事や科学の仕組みを一枚の図で説明した後、時間の流れが分かる動画として見せることが考えられます。文章だけでは理解しにくい内容でも、図、動き、音声を組み合わせることで、学ぶ人がイメージしやすくなる可能性があります。

ただし、Muse Imageで作った人物や背景をMuse Videoへそのまま移し、同じ見た目を保った動画を作る機能は、今回の公式発表では示されていません。Muse ImageとMuse Videoを一つの画面で続けて使える仕組みも、現時点では発表されていません。

Share this article コピーしました
WRITTEN BY

PlusWeb3 編集部

Web3・AI専門メディア

PlusWeb3 編集部は、ブロックチェーン・Web3・AIの最新動向をわかりやすくお届けする専門メディアチームです。業界経験豊富な編集者とリサーチャーが、信頼性の高い情報を厳選してお届けします。

コピーしました

Web3・AI・ディープテック領域のキャリアに興味がありますか?

業界特化メディアを運営する専門エージェントが、企業のカルチャー・技術スタック・選考ポイントまで踏まえてキャリアをご提案します。相談は完全無料です。