LINE Xenesisによるブロックチェーン『LINE Blockchain』の躍進と動向
12月13日に、LINE Blockchainを開発・運営するLINE Xenesis Inc.は、スニーカーマニア向けの位置情報ベースのNFTゲーム「Aglet」との業務提携を締結したことを発表しました。
ほとんどの国民が利用していると言っても過言ではない「LINE」を提供するLINE株式会社は、2018年1月31日にLINE Xenesisを子会社として設立し、LINE BITMAX、LINE BITMAX WalletおよびLINE NFTをリリースしています。
今回は、8月に締結されたSTEPNとの業務提携なども含め、マスアダプションに向かうLINE Blockchainの動向を読み解いていきます。
LINE Blockchainとは?
LINE Blockchainとは、LINE株式会社のグループ会社の一つである「LINE Xenesis株式会社」が開発・運営するLINE独自のブロックチェーンです。
また、LINE Xenesisという会社名は、グローバルレベルで「LINE Blockchain Designed For Everyone 」を実現する始発(genesis block)になる意味を込めており、頭文字の”X”は、暗号資産取引の領域で展開していた「LINE BITMAX」やデジタルアセット管理ウォレット「LINE BITMAX Wallet」それぞれの名称に含まれる”X”を取り入れることで、各種サービスの基盤としてLINE Blockchainを見据えていることを表現しているようです。
会社情報(抜粋)
社名:LINE Xenesis株式会社
代表:林 仁奎 代表取締役社長CEO
設立:2018年1月31日
LINE Blockchainによるフィットネス系NFTゲームとの提携
LINE Blockchainは、本年8月のSTEPNとの提携に続き、12月13日にAgletとの提携を結びました。LINE Blockchainを用いた他のサービスが多くある中で、Web3フィットネスゲームの2社が業務提携に結びついた経緯が気になるところです。
まずはそれぞれの概要をみていきましょう。
STEPNとの業務提携
LINE Blockchainは、2022年8月にNFT業界で類を見ないほど話題となったフィットネス系アプリ「STEPN」との業務提携を発表しました。
STEPNは、DAU(日間ユーザー数)が100万人に達したこともある代表的なWeb3フィットネスゲームであり、日本でも大きな話題と社会現象を巻き起こしました。
STEPNは、暗号資産を利用したアプリケーションでありながら、他では中々リーチできずにいた非クリプトユーザーにも浸透した数少ないNFTゲームです。その理由として「ウォレットがアプリ内で完結しているため暗号資産を取引所で購入してウォレットに送る必要がない」「生活スタイルに馴染みやすいコンセプトであるためリファラルしやすかった」ということが考えられます。
LINE Xenesisのイム・インギュCEOによるコメント:
グローバルにおいてWEB3.0の代表的な事例を作り、日本でも高い人気を誇るSTEPNと今回協力できることを大変嬉しく思います。LINE BlockchainはLINE独自のブロックチェーンとして、LINEのさまざまなサービスの基盤技術として活用されています。国の垣根を超えた今回の協業により、新しいシナジーを生み出し今後もユーザーの一番近くでブロックチェーンの新しい価値を提供していきたいと思います。
CoinPostによる【LINE Xenesis、STEPNの運営企業と覚書を締結】より引用
すでにソラナ、BNB、イーサリアムの3チェーンに対応しているSTEPNでしたが、4つ目のチェーンとしてLINE Blockchainを採用し業務提携に至りました。
日本市場の非クリプトユーザーを席巻したSTEPNは、マスの基盤を抱えているLINEと連携することで、より多くのユーザーを獲得する狙いがあったと考えられますし、LINEとしてもSTEPNが誇るアクティブユーザーをLINE Blockchainへ引き込む良い一手と考えたと思われます。
Aglet
さらに今月13日、LINE Xenesisは新たに「Aglet」を運営するOnlife Inc.との提携を発表しました。
Agletは、スニーカーマニア向けの位置情報ベースのNFTゲームであり、街中を移動する中でニューバランスやアシックス、アディダスといった著名なブランドのスニーカーを集めることができます。
STEPNのような「Move to Earn」というコンセプトではなく、あくまでバーチャルスニーカーをコレクトする中で、リアルなスニーカブランドとの接点を生み出すマッチングのような位置づけとしてAgletを捉えられますが、いずれも歩いて目標を達成する手段が重なっていることからSTEPNと同様のフィットネスゲームと言えるでしょう。
Agletも、日本にローカライズさせたアプリケーションをLINE Blockchain上に開発する予定です。
LINE Xenesisの戦略「マスとNFTの距離感を縮める」
2大フィットネス系ゲームであるSTEPNとAgletと提携を進めているLINE Blockchainですが、今後LINEが誇る圧倒的なユーザー数とコミュニティを軸に、ユーザーにNFTや暗号資産を感じさせないコンセプチュアルなゲームをエコシステムに取り入れていくことで、LINEが抱える膨大なユーザーをWeb3へオンボーディングしていくと考えられます。
そこで、そもそもの親会社であるLINE株式会社が提供するLINEの概況を簡単に見ていきます。
MAU:9,300万人(2022年9月末)
オープンチャットの累計利用者数:2000万人(2022年8月)
このように、LINEはすでに9,300万人という日本人口に対して約74%のユーザーを抱えています。
また、NFTや暗号資産領域で重要視されているコミュニティという観点でいえば、LINEオープンチャットが相当すると思われます。そしてそのオープンチャットの利用者数は2000万人を突破しています。これだけの利用者がいれば、STEPNコミュニティやAgletコミュニティがLINEオープンチャット場に形成されていくことは想像に容易いです。(既にあります)
今回の提携とLINE Blockchainのこれまでのリリースを踏まえて、3つの軸に整理してみました。
- 既存コンテンツに付属するNFT
- NFTを持つことによる特典
- 生活に馴染みやすいゲーム(STEPNやAgletとの提携)
これらは最終的にNFT総合マーケットプレイスである「LINE NFT」への流入人口およびNFT発行総数の増加を目指した、非クリプトユーザーに向けたオンボーディング(ナーチャリング)であると考えています。
既存コンテンツに付属するNFT
LINEは、スタンプ付きのNFTを提供しています。これは、NFTを持っているユーザーだけがダウンロードできるNFT限定LINEスタンプになっています。
LINEは、NFTを所有するだけでなく、所有することによって得られる体験をわかりやすい形で提供するため「プロフィールNFT」機能の提供や「ホルダー限定コンテンツ」を提供しています。
このように、既に価値を感じられている商材とセットでNFTを販売することでNFT購入までの障壁を取り除き、NFTへの抵抗感を減らしていくことが現時点において重要だと考えられます。
NFTを持つことによる特典
前項と重なる部分もありますが、NFTを保有しているユーザーだけが閲覧できる写真や映像を購入して視聴できる機能も提供しています。NFTの特徴は所有者を識別可能な点にあります。しかしNFTマーケットプレイスでは、誰でもNFTを閲覧できるためその特徴を実感することは難しいです。
そこで、LINE NFT上で「ホルダー限定コンテンツ」を購入・視聴可能な機能を追加しました。デジタルチケットとして直感的に受け入れられやすい取り組みを続々と取り入れている動きから、既に存在する市場を活用しながら徐々にNFTの保有者を増やしてスタンダードに据え変えていると言えるでしょう。
生活に馴染みやすいゲーム
そして、冒頭で紹介してきたWeb3フィットネスゲームのSTEPNとAgletは、生活に馴染みやすいゲームを通して、ユーザーにNFTを意識させずにNFTの特徴を使ったゲーム体験や経済行動を実現していると考えられます。
LINE Blockchainの直近までの動きを振り返りながら、マスアダプションの鍵を握るLINE Xenesisの動向を見てきました。暗号資産やNFTのマスアダプションを目指す上で「いかに専門用語を意識させないか」「既にある市場を活用しながらオンボーディングしていくか」という考え方が業界内の共通認識として形成されつつあるように思います。
LINE Xenesisがどのようにマスアダプションを進めていくのか、今後の動きに注目です。
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参考文献
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- CoinPostによる【LINE Xenesis、STEPNの運営企業と覚書を締結】の記事はこちら
- CoinPostによる【LINEとAgletが提携】の記事はこちら
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