【アクセラレータAllianceDAO発】海外で注目されているWeb3スタートアップ３選

2022-12-202023-02-08

今回は、海外のアクセラレータ「Alliance DAO」発のWeb3スタートアップに焦点を当てて、今海外で注目されている３つのブロックチェーンサービスを紹介します。なお、これらのスタートアップはシードステージにあたり、様々なVCからの資金調達にも成功しています。

まず始めに、アクセラレータ「AllianceDAO」について簡単に紹介します。

アクセラレータ「AllianceDAO」とは

「AllianceDAO」の前身は、DeFi Alliacneと呼ばれるDefi領域における最大規模の業界団体にあります。

「DeFi Alliacne」は、2022年1月13日に5,000万ドルの資金調達と「AllianceDAO」にリブランディングすることを発表し、DAO（自立分散型組織）として活動を行っています。

「AllianceDAO」としての活動内容は、当初は主にDeFi領域のスタートアップのアクセラレーションが中心でしたが、最近ではDeFi領域だけでなく、ブロックチェーンを活用した非金融領域のスタートアップの支援も積極的に行っています。

それでは実際に、AllianceDAOから最近誕生した３つのWeb3プロジェクトを見ていきます。なおこれらのプロジェクトは、2022年11月に行われたDemo Dayにおいて、応募953プロジェクトから選ばれた17個のプロジェクトのうち、特に注目されているプロジェクトをピックアップしています。

Spexigon（「Fly to Earn」を導入したドローン画像マーケットプレイス）

プロジェクトの概要

「Spexigon」は、カナダのバンクーバーに拠点を置くソフトウェア企業 Spexiが運営するドローン画像に特化したオンチェーンのマーケットプレイスです。

2022年10月には約550万ドルのシードラウンドを行い、今カナダで注目を集めているWeb3スタートアップ企業の一つです。

マーケットプレイス「Spexigon」は、Flowブロックチェーン上に構築されており、ドローン画像をアップロードすることで報酬を得ることができる「Fly to Earn」の仕組みを導入しています。

プロジェクト背景・目的

Spexiが運営する本プロジェクトの目的は、世界中のドローンパイロットが高解像度の空撮画像を撮影することにインセンティブを与え、さらに、それらの画像を容易に利用できるようにすることで、地理空間データを民主化することにあります。

これまでドローン画像は、主にプロジェクトごとに比較的狭い範囲で収集され、それらのデータは組織内だけにとどめられるケースがほとんんどでした。

また、現状課題として、多くの公共組織や企業にとっては、ドローンによって撮影できる高解像度な画像データを大規模に収集することは、コストや時間も膨大にかかるという課題もあります。

そこで、Spexiは、「Spexigon」という誰もがドローン画像をアップロードかつ利用できるプラットフォームを開発し、これらのコストを大幅に削減すると同時に、公共組織や民間組織の意思決定プロセスを加速させることを目的としています。

プロジェクト内容の詳細

「Spexigon」は、様々な組織が撮影したドローン画像が一つのプラットフォームに集まるようにし、誰もが利用できるような利便性の高いサービスを目指しています。

これらのドローン画像は、超高解像度ベースレイヤーとして、政府を始めとした公共組織や、様々な民間組織が建物や、インフラ、天然資源などに関して、より精度の高い意思決定をする上で役立てられることを想定しています。

ドローンのパイロットは、航空画像データを提供する報酬として、ドルと新しい暗号通貨「SPEXI」の両方を得ることができます。

また、Spexiチームは、すでにカナダ連邦政府と共同で、山火事の発生しやすい地域の森林を画像化するプロジェクトを進めています。

ドローンで撮影した画像をAIとコンピュータビジョンで処理することで、森林の乾燥した部分を事前に特定し、火災が発生する前にその部分の対策を講じることができるようになりました。

今後、さらに保険引受のための建物検査、建設プロジェクト管理のための画像、建物やインフラの保守・修理、測量・地図作成、都市計画、住宅・商業用不動産のマーケティングなど、収集した画像のユースケースは広がっていくと考えられます。

Ora（ブロックチェーン検索エンジン）

プロジェクト概要

「Ora」は、Web3版の検索エンジンです。ユーザーは、自然な言語を使用してオンチェーンデータを検索できるようにすることで、仮想通貨テクノロジーに詳しくない人でも理解しやすいサービスとなっています。

Google検索エンジンと同様に、調べたいワードを検索窓に入れて検索すると、簡単にオンチェーン上のデータを調べることができます。

プロジェクト背景・目的

ブロックチェーン上のトランザクションデータを検索するには、SQLの知識が必要となります。SQL検索のダッシュボードは技術者向けに設計されているため、専門的な知識がないとブロックチェーン上のデータを容易に検索できないという課題があります。

そこで「Ora」は、Google検索エンジンと同様に、調べたいキーワードを検索窓に入れて検索することで、簡単にオンチェーン上のデータを調べることができることを目的とし、開発を進めてきました。

プロジェクト内容の詳細

「Ora」は、もともと Solanaのサマーキャンプのハッカソンから登場したブロックチェーン検索サービスです。自然言語を使用し、オンチェーンデータを検索できるようにすることで、ブロックチェーン技術を技術者以外のユーザーに提供するのに役立っています。

例えば、検索例として、以下の動画のように、「”solana monkey business” sales in September（9月の”solana monkey business”（NFTコレクション名）売り上げ）」と検索すると、検索結果で ”solana monkey business”の売買履歴一覧が表示されます。

今はソラナチェーンにのみ対応していますが、今後ほかのチェーンにも対応していく予定です。

Hello World!

We’re excited to announce Ora: the search engine for blockchain data ▩ ▩ ▩

Our vision is to make querying blockchains as easy as a Google search 🔍

Traversing crypto transactions should feel like surfing the web(3) 🏄 pic.twitter.com/4KrzUOCr9S
— ora ▩ (@oralabs_) August 18, 2022

0xPass（ログイン簡素化のためのDapps用ツール）

プロジェクト概要

「0xPass」は、開発者が DApps のログインフローを数分で構築する際に役立つツールです。0xpassを活用したログインSDKは、安全でカスタマイズ可能なログインフローを DApp に提供し、ウォレットベースの認証を簡素化することができます。

また、0xPassは、Aliance DAO や Balaji氏などから資金調達を行い、注目を集めています。

プロジェクト背景と目的

Dappsの開発者は、メインストリームに適したログイン認証フローとアプリ内UXの構築に多くの時間と費用がかかっています。

そこでこれらの課題を解決するために、「0xPass」のログインSDKを開発し、誰でも簡単にログインフローをDAppsに組み込むことができるようにしています。

プロジェクト内容の詳細

「0xPass」は、ConnectKitとRainbowkit のオープンソースウォレットアダプターの上に構築されています。このログインSDKを活用することにより、簡単にDappsのログインフローを構築することができます。

サインインはイーサリアムによって行い、ユーザーを安全に認証しウォレットの所有権を確認します。

これにより、すべてのインタラクションに対してユーザーが署名することなくユーザー関連のリソースを読み書きし、保護されたページを表示することができます。

さらに、「0xPass」を活用することにより、GoogleやTwitter、DiscordアカウントなどのソーシャルIDをワンクリックで取得するフローの構築もできます。

⚡ Introducing 0xPass ⚡

Leveraging account abstraction (EIP-4337), 0xPass lets devs bring "web2-like", frictionless user experiences to their dApps in a wallet agnostic manner.

⭐ Sign up for early access – https://t.co/wcF6y5Aidm ⭐
— 0xPass (@0xpass_io) November 10, 2022

アクセラレータ「AllianceDAO」が支援するWeb3スタートアップの今後の展開

今回は海外のアクセラレータ「AllianceDAO」に焦点を当て、シードラウンドにも成功している３つのプロジェクトについて紹介しました。

「AllianceDAO」はこれまでDeFi領域のスタートアップを中心に支援をしていましたが、これらの３つのプロジェクトのように、非金融領域にも積極的な支援をするようになってきています。

とくに「Spexigon」のように社会的意義が高く、政府や多くの民間企業にとって利用価値の高いブロックチェーンサービスはより多くの資金調達に成功しています。

今後は、私たちの身の回りの課題を解決するような社会的意義の高いブロックチェーンサービスに注目が集まり、そのようなスタートアップが今後さらに増えていくと考えられます。

参考文献

・HEDGE GUIDEによる【DeFi Allianceが5,000万ドルを調達してDAO化、「AllianceDAO」へのリブランディングも発表】の記事はこちら
・Bspeak！による【最新アクセラレータ発のweb3スタートアップ17社】の記事はこちら
・TechCrunchによる【Say hello to the newest crypto startups from web3 accelerator Alliance DAO’s demo day】の記事はこちら

Spexigonプロジェクト関連
・Spexigon公式サイトはこちら
・Spexigonによる公式プレスリリース記事はこちら
・Spexigon公式Twitterによる投稿はこちら

Oraプロジェクト関連
・Ora公式サイトはこちら
・Cryptoslateによる【A new blockchain search engine Ora emerges from Solana hackathon】の記事はこちら
・CBinsightsによるFunding情報はこちら
・Ora公式Twitterによる投稿はこちら

0xPassプロジェクト関連
・0xPass公式サイトはこちら
・0xPass公式Twitterの投稿はこちら