2026年7月16日、富士フイルムビジネスイノベーションは、日本をはじめアジア太平洋、欧米地域でAI機能を搭載した統合型保守支援プラットフォームの運用を順次開始する。クラウド上で保守情報を一元管理し、AIが部品選定や修理手順を支援することで、保守業務の効率化と複合機・プリンターのダウンタイム低減を目指す取り組みである。
AIが保守判断を支援し作業を効率化
富士フイルムビジネスイノベーションが開発した新たなプラットフォームは、サービスマニュアル、機械情報、診断ツール、保守実績データをクラウド上で統合管理し、カストマーエンジニア(CE)が必要な情報へ迅速にアクセスできる環境を実現する。
従来のように複数システムを横断して情報を探す必要がなくなり、訪問前の準備から現場対応まで保守プロセス全体の効率化につながる。
中核となるAI機能は2種類で構成される。
「AI Spare Parts Recommender」は修理要請の内容を基に持参すべき部品を推奨し、初回訪問での修理完了率向上を支援する。一方、「AI Service Manual」はトラブル内容や機器の状態を基に原因を切り分け、最適な作業手順を提示することで、経験に依存しがちな判断を標準化する役割を担う。
オーストラリアと香港で実施した実証実験では、部品推奨の正答率は約8割、作業手順提示の正答率は約9割を記録した。さらに障害原因の特定時間は半分以下まで短縮され、部品不足による再訪問の削減や修理時間の短縮といった効果も確認されている。
保守AIの普及で品質均一化が加速する可能性
今回の取り組みは、単なる保守業務の効率化にとどまらない。複合機やプリンターは高度なセンシング技術によって取得できるデータ量が増加しており、その情報を十分に活用するには熟練技術者の経験だけでは対応が難しくなりつつある。AIを活用して判断基準を共有できれば、技術継承や教育負担の軽減にも寄与すると考えられる。
また、担当者ごとのスキル差を抑えながら均質なサービス品質を提供できれば、海外市場での保守体制強化や顧客満足度向上にもつながる可能性がある。
一方で、AIの提案精度は蓄積データの質や更新頻度に左右されるため、継続的な学習や運用改善は不可欠となる。新機種や特殊な故障事例への対応力を維持できるかが、今後の実用性を左右する重要なポイントになるだろう。
保守分野では人手不足や熟練技術者の減少が世界的な課題となっている。今回のようにAIを現場支援へ組み込む動きは、製造業や産業機器のアフターサービスにも広がる可能性があり、設備保守のあり方そのものを変える取り組みとして注目されそうだ。
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