2026年7月17日、東芝は、NEDOが推進する「AIロボット・フィジカルAIを見据えたマルチモーダル基盤モデル開発事業」において、国産AI基盤モデルを開発するNoetraへの出資とAI技術者の派遣を発表した。国内で管理・運用可能なAI基盤の構築を支援し、エネルギーや社会インフラなど高い信頼性が求められる分野での活用を目指す。
東芝、出資と技術者派遣で国産AI開発を後押し
東芝はNoetraの株主として出資するとともに、AI技術者を派遣し、国産AI基盤モデルの開発に直接参画する。対象となる事業は、NEDOが進めるマルチモーダル基盤モデル開発プロジェクトの一環であり、日本発のAI基盤技術の確立を目指す取り組みである。
背景には、生成AIの急速な普及に伴い、海外企業への技術依存が技術・データ主権や経済安全保障の課題として意識されている状況がある。重要インフラを担う東芝は、国内で主権的に管理・運用できるAI基盤の必要性を重視し、世界最高水準を視野に入れた開発への参画を決定した。
さらに、Noetraが開発する基盤モデルと、東芝が長年蓄積してきたドメイン知識や技術ノウハウ、事業データを組み合わせることで、高信頼性が求められる領域への実装も検討していく。
産業AIの国産化前進も実用化には競争力が課題
東芝は今後、国産AI基盤モデルをエネルギー、社会インフラ、防衛、製造分野へ展開し、業務効率化や高度な意思決定支援への活用を検討する。これらの分野では機密性や安全性への要求が高く、国内で管理可能なAI基盤への需要は今後さらに拡大する可能性がある。
また、自社の知見と国産モデルを組み合わせることで、汎用AIでは対応が難しい専門業務向けAIの実現にも期待が集まる。一方で、海外の大規模AIモデルは性能や開発速度で依然として優位にあり、国産モデルが競争力を維持するには継続的な研究開発や十分な計算資源の確保が欠かせない。
今回の東芝の参画は、単なる出資にとどまらず、日本企業がAI基盤そのものの開発力を強化し、産業競争力と経済安全保障を両立させる取り組みとして注目される。
今後はNoetraの開発成果が実際の社会インフラや産業現場へどこまで実装されるかが重要な焦点となりそうだ。