2026年6月22日、保険代理店向けクラウドシステム「hokan®︎」を提供するhokanは、三井住友海上火災保険と連携し、AIを活用した代理店自己点検の対話支援ツールを開発したと発表した。監査情報や顧客アンケートを分析し、代理店ごとの課題に応じた改善提案を行うことで、保険業界における業務品質向上とガバナンス強化を後押しする狙いだ。
AIが代理店監査を支援、対話品質を標準化
今回開発されたツールは、三井住友海上が保有する代理店監査情報や顧客アンケートなどのデータをAIが分析し、代理店の自己点検結果に対して最適な対話内容や改善施策を提案する仕組みである。
背景には、2026年度から日本損害保険協会が運営を開始した「代理店業務品質評価制度(※)」がある。同制度では、保険代理店が業界共通基準に基づく自己点検に主体的に取り組むことが求められており、保険会社にも均質かつ実効性の高い指導体制が期待されている。
従来は担当者ごとの経験や知識に依存しやすかった代理店指導だが、本ツールではAIが実際の運営状況と自己点検回答の整合性を確認する。さらに保険業法や社内マニュアルと照合しながら改善ポイントを提示するため、監査品質のばらつきを抑えられる可能性がある。
保険業界では近年、不適切な保険募集への対応や顧客本位の業務運営が重要課題となっており、今回の取り組みは業界全体の品質管理を支える新たなデジタル基盤として注目される。
※代理店業務品質評価制度:日本損害保険協会が運営する業界共通の評価制度。保険代理店の業務運営や内部管理体制を一定基準で評価し、保険募集の品質向上と利用者保護を目的としている。
AI監査が普及へ、説明責任との両立が課題
今回の取り組みにより、保険業界におけるAI活用は単なる業務効率化から、ガバナンス強化や品質管理へと広がるだろう。今後は代理店との対話履歴や改善状況の蓄積が進み、指導ノウハウの組織的な共有も加速すると考えられる。
特に、複数の営業担当者や監査担当者が存在する大規模組織では、判断基準の標準化によるメリットは大きい。AIが蓄積データを活用して改善提案を行うことで、経験の差による指導品質のばらつきを抑制できる可能性がある。
一方で、AIの分析結果をそのまま採用するだけでは十分とは言えない。保険募集の適切性や顧客対応には個別事情も多く、最終的な判断や説明責任は人間側に残るためだ。
今後、法令改正や新たな業界ルールへの対応が進めば、こうした対話支援ツールはさらに高度化するだろう。保険会社と代理店の連携を支えるインフラとして定着するかどうかが、業界全体の信頼性向上を左右するポイントになりそうだ。