2026年4月22日、ENEOSはセルフサービスステーションにおける給油監視業務をAIで代替する「AI自動給油監視システム」の導入開始を発表した。省令改正により解禁された技術を活用し、安全性と運営効率の両立を図る。
AIが給油許可判断 監視業務を自動化
ENEOSが導入するAI自動給油監視システムは、従来スタッフが担ってきた給油時の安全確認と給油許可の判断をAIが代替する仕組みである。
従来セルフスタンドでは利用者の誤操作や危険行為を防ぐため、監視業務が不可欠とされてきた。これらの工程を自動化することで省力化を実現する狙いだ。
背景には、2026年2月28日に施行された省令改正がある。これにより、一定の条件下でAIによる給油監視が正式に認められ、現場運用が可能となった。
ENEOSは2018年度から資源エネルギー庁や消防庁の官民合同検討会に参加し、実証環境の提供や要件整理を通じて制度設計と技術開発の両面に関与してきた経緯がある。
同社はすでに一部店舗で技術実証を進め、安全性と運用面の検証を重ねてきた。今回の発表は、こうした蓄積を踏まえた本格導入フェーズへの移行を意味するものであり、実証済み店舗から順次運用が開始される見通しだ。
無人化ではなく再配置 現場価値は上がるか
ENEOSは本システムについて、完全無人化を目的とするものではないと明言している。
給油監視の自動化によりスタッフの負担を軽減し、その分を接客や付加価値業務へ再配分することで、店舗全体のサービス品質向上を目指す構想である。特に整備や物販を併設する複合型SSでは、人的リソースの再配置が収益性改善につながる可能性がある。
一方で、AI導入に伴うリスクも無視できない。監視判断の誤検知やシステム障害が発生した場合、安全性への影響は直接的であり、バックアップ体制の設計が不可欠となる。また、AI判断の透明性や責任所在の明確化も、現場運用における重要な論点となるだろう。
今後は利用者の受容性や現場スタッフの評価を踏まえながら、全国のSS網へ段階的に展開される見込みだ。
人手不足という構造課題を背景に「AIが現場業務の一部を担う流れは加速する可能性」が高い一方で、単なる省人化にとどまらず「人が何に集中すべきか」を再定義できるかが、競争力の差別化になると言える。