エヌビディアが強気予測を発表 AI需要急増でバブル懸念は一時後退へ

2025年11月19日、米半導体大手エヌビディアは2025年11月〜2026年1月期の売上高が650億ドルに達するとの見通しを示した。世界的なAIバブル懸念がくすぶるなかでも、クラウド事業者の需要が堅調で、市場は同社の成長持続力を再評価しているようだ。
エヌビディア、650億ドル見通しで市場心理を押し上げる
エヌビディアが発表した第4・四半期(2025年11月〜2026年1月)の売上高予測は、市場予想を上回る650億ドル(プラスマイナス2%)となった。AI向け半導体の需要が想定以上に強く、とりわけクラウドプロバイダーがデータセンター構築を急ぐ動きが追い風になっている。
同社株は直近3年間で1200%の上昇を記録する一方、2025年11月には過熱感への懸念から8%下落していた。
しかし今回発表された見通しは、AIインフラ投資が依然として拡大基調にあり、成長ストーリーが崩れていないことを改めて印象づけた格好だ。
ジェンスン・フアンCEOは最新のブラックウェルチップの需要について「桁外れ」と表現し、基盤モデル開発企業やAIスタートアップの増加によって関連市場が急速に拡大していると述べた。
エヌビディアの主要顧客となる世界の大手IT企業は、数十億ドル規模の投資を継続し、ギガワット級データセンター建設を進めている状況である。
AI投資は加速へ 評価過熱の火種も残り市場は慎重姿勢維持か
今回の見通しが示す最大のポイントは、AI半導体需要が短期的に減速する兆候がほとんど見られない点だろう。
高性能GPU(※)への投資が継続すれば、基盤モデルの開発速度は一段と加速し、生成AIサービスの高度化や新たなビジネスユースケースの登場につながると考えられる。
Web3領域でも、高密度計算を前提としたサービス開発が広がり、エコシステムの進化を後押しする可能性がある。
この動きにより、企業はAI処理能力を確保しやすくなり、研究開発から商用化までのサイクルが短縮されると予測できる。とりわけ新興企業にとっては、高速なモデル学習環境を得やすくなることで、競争力を高めやすくなると考えられる。
さらに、データセンター投資の増加は周辺産業の成長も促し、地域経済に波及効果をもたらすことが期待される。
しかしGPU供給の逼迫が依然として続く中、需要の集中が投資計画の遅延や価格上昇を引き起こすおそれは依然リスクとして残る。また、AIインフラの拡張が進むほど電力・土地といった物理的制約にも直面し、成長がボトルネックに左右される点も見逃せない。
今後は、エヌビディアの供給能力の拡大、主要顧客の投資ペース、そしてAI計算需要の持続性が市場の焦点になるだろう。
バブル懸念が当面後退したとはいえ、中長期的には需給バランスの変化が評価に影響を与える局面が訪れるとみられる。
※GPU:大量の並列計算を高速に処理する半導体。AIモデルの学習・推論の基盤となり、データセンター需要が急増している。
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