2026年8月11日、米CoreWeaveが2026年第2四半期(6月30日終了)の業績を発表した。AI導入の拡大を背景に顧客需要が加速し、売上高バックログは約1040億ドルに達した。AI専用インフラの増強と技術開発を同時に進め、事業規模の拡大を成長につなげる段階に入った。
AI需要を追い風にインフラを急拡大
CoreWeaveは今四半期、Bentley Systems、Caterpillar、Grammarly、Isomorphic Labs、Sunday Roboticsなどを新たな優先パートナーとして獲得した。既存顧客でもCognitionやDatabricks、Runway MLなどとの関係を拡大し、企業とAIネイティブ企業の双方で利用基盤を広げている。
インフラ面では稼働電力を約500MW増強し、1.5GWに到達した。契約済み電力の総量も約3.7GWまで拡大しており、AIワークロード(※)を支える計算資源の確保を急いでいる。6月末時点の売上高バックログは約1040億ドルで、第3四半期初めに追加された250億ドル超の新規顧客コミットメントは含まれていない。
技術面でも、NVIDIA Vera Rubin NVL72の立ち上げ・検証を業界で初めて成功させたほか、複数クラウドをまたぐAIワークロードの実行を支援する機能を投入した。
同社はGoogle Cloudとの専用光ファイバー接続を提供するCoreWeave Interconnectや、複数クラウド間でデータへアクセスできるLOTA Cross-Cloudなども展開している。
※AIワークロード:AIモデルの学習や推論など、AI処理に必要な計算作業全般。
AIクラウド競争、成長と財務負担が焦点に
今回の決算からは、AI需要の拡大が計算資源だけでなく、クラウド間接続やデータ処理、AIエージェントの継続的な改善まで押し広げている構図が見える。CoreWeaveはARIA(AI Research and Iteration Agent)やSandboxesを投入し、学習・推論・強化学習・評価をつなぐ環境の整備も進める。
一方、急速な設備拡張には巨額の資金が必要となる。CoreWeaveはAI・HPC(高性能コンピューティング)インフラを裏付けとする31億ドルのタームローンを実施し、Jane Streetから10億ドルの戦略的投資も受けた。さらに100億ドル超の無担保債務および転換社債を調達しており、成長投資を支える財務基盤を拡充している。
今後の焦点は、約1040億ドルのバックログを実際の売上へ転換しながら、インフラ拡張による営業レバレッジ(※)をどこまで高められるかにある。AI需要が継続すれば成長余地は大きい一方、顧客需要の変化、第三者との供給関係、資本調達、地政学や金利などのリスクも残る。
AI専用クラウドの競争力は、計算資源の規模だけでなく、コストと性能、信頼性を含む総合力で問われる段階に入ったと言える。
※営業レバレッジ:売上高の増加に対して固定費の増加が抑えられることで、営業利益がより大きく伸びる効果。