2026年7月24日、東京都のつながりAIは、山形市から受託するLINE相談サービス「つながりよりそいチャット」において、市営住宅などの居住者向けAI相談サポートを強化すると発表した。24時間365日対応のAIパートナーを活用し、公営住宅における孤独・孤立の予防と行政の居住支援体制の強化を目指す国内の取り組みである。
AIが公営住宅の相談窓口を24時間支援
つながりAIは、山形市営住宅の居住者や住宅確保要配慮者(※)を対象に、LINEを通じてAIパートナーへいつでも相談できる仕組みを提供する。孤独感や生活上の不安、体調の悩み、行政制度に関する質問など幅広い相談に対応し、必要に応じて専門職相談員や行政窓口へ引き継ぐ体制を整える。
従来、公営住宅の見守りや相談支援は自治会や管理人、行政職員、福祉関係者など人的支援が中心だった。しかし、高齢化や単身世帯の増加、地域コミュニティの希薄化によって、限られた人員だけで継続的に支援を行うことは難しくなっている。
こうした背景から、AIを一次相談窓口として活用し、人による支援を補完するモデルが導入される。利用者は深刻な問題になる前の段階でも気軽に相談できるため、支援が必要な人を早期に把握し、適切な行政サービスへつなげる効果が期待される。
また、孤独・孤立対策推進法や住宅セーフティネット制度の見直しに加え、身寄りのない高齢者支援を強化する法改正も進んでおり、住まいと福祉を一体的に支える仕組みへの関心は高まりつつある。
※住宅確保要配慮者:高齢者、低所得者、障害者、子育て世帯など、賃貸住宅への入居や居住継続に特別な支援や配慮を必要とする人々を指す。
全国展開へ期待も AI活用と人の支援の両立が課題
今回の取り組みは、山形市だけの実証にとどまらず、全国の公営住宅へ展開可能な居住支援モデルとして位置付けられている。つながりAIは、運用を通じて得られた知見をもとに、国土交通省などへの政策提言を進め、AIを活用した居住セーフティネットの制度化を目指す考えだ。
行政側にとっては、AIが日常的な相談対応や情報提供を担うことで、職員や専門職は緊急性や専門性の高い案件へ集中しやすくなる点がメリットだ。人的リソースの不足が深刻化する自治体にとって、業務効率化と住民サービス向上を両立する選択肢となる可能性がある。
一方で、AIはあくまで支援の入り口であり、人間の判断や福祉専門職を代替するものではない。複雑な家庭事情や精神的な問題などは、適切なタイミングで人による支援へ引き継ぐ運用体制が不可欠となる。
今後、日本では高齢化や単身世帯の増加がさらに進むと予測される。公営住宅に「いつでも相談できるAIパートナー」を組み込む仕組みが定着すれば、孤立を未然に防ぐ新たな社会インフラとして全国へ広がる可能性があり、行政DXと福祉政策の両面から注目を集めそうだ。