高音質音楽サービス「Qobuz(コバズ)」が、米TIME誌の「2026年最高の発明品」のエンターテインメント・ゲーミング部門に選出された。
人間の専門家による選曲や高音質再生、音楽の透明性を重視する姿勢が特徴である。
人の選曲とハイレゾ再生、AI楽曲の識別も推進
2026年10月28日、Xandrie Japanは、高音質音楽サービス「Qobuz」が米TIME誌の「2026年最高の発明品」に選出されたと発表した。
TIME誌の「最高の発明品」は、世界をより良く、スマートで楽しいものにする革新的な発明300件を選ぶ企画だ。
同誌はQobuzについて、広告がなく、プレイリストを人間が選曲している点を紹介。
競合サービスよりも1再生あたりのロイヤリティ支払額が高いとQobuzが説明している点も取り上げた。
2007年創業のQobuzは、1億曲以上のロスレス音源(※)を扱い、最大24bit/192kHzのハイレゾ音源などを提供する。
人間の専門家による選曲や作品解説、独占音源を組み合わせ、音楽を深く楽しめるサービスを展開している。
2026年には音楽プレイヤーのデザインを刷新し、楽曲のクレジット情報や編集コンテンツへのアクセスを拡充した。
対応機器に直接ストリーミングできる「Qobuz Connect」の連携先も増やしている。
AI生成音楽に対しては「AI Charter」を公表し、9月からAI生成コンテンツを識別するタグを導入した。
さらに2025年には、検証を受けた1再生あたりの平均支払額として0.01873米ドルを公開。
配信の利便性だけでなく、楽曲の由来と収益分配の透明性も打ち出している。
日本では8月に眞名子新氏のアルバム試聴イベントを開催した。
10月23日にはポーランドでサービスを開始し、提供地域は世界27か国に広がった。
こうした提供地域の拡大を進めるなか、事業面では2025年の売上高が前年比45.7%増加したと発表しており、2027年3月には純利益の黒字化を見込んでいる。
※ロスレス音源:音声データの情報を失わずに保存・再生できる音源。可逆圧縮方式や非圧縮方式があり、一部の情報を削る非可逆圧縮方式とは異なる。再生時の音質は機器や環境にも左右される。
人の編集力が差別化に、透明性の実効性が課題か
今回の選出は、音楽配信サービスが曲数や操作性だけでなく、音楽との出会い方でも差別化できることを示す事例といえる。
AIによる推薦が広がるなか、人間の編集力を生かしたサービスは、新たな音楽を発見したい利用者にとって魅力となる可能性がある。
特に、専門家による選曲と作品解説の組み合わせは、アーティストへの理解を深めるきっかけになるだろう。
独占音源や試聴イベントの提供も、利用者の満足度向上や新規顧客の獲得につながる可能性がある。
また、AI生成楽曲の識別や再生あたりの支払額の公開は、音楽の由来や収益分配を重視する利用者にとって、新たな判断基準となり得る。
こうした取り組みは、音楽配信業界全体の情報開示を促す契機にもなりそうだ。
一方、AIタグによる楽曲識別の精度や、人手による編集体制を継続できるかについては、今後も検証が必要だろう。
専門性の高いコンテンツの制作には運営負担が伴うため、品質と収益性を両立させることが重要になるはずだ。
今後は、同社が独自の音楽体験を維持しながら利用者の拡大と収益性の向上を両立させ、2027年3月の黒字化見通しを実現できるかに注目したい。
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