日本円ステーブルコイン「JPYC」を発行するJPYC株式会社が、事業拡大に向けた資金調達を実施した。
金融・Web3領域のエコシステム拡大に資金を投じ、実店舗や物流を含む幅広い分野でJPYCの社会実装を加速する方針だ。
シリーズB累計約60億円を調達
2026年8月5日、国内のJPYC株式会社は、シリーズBラウンドのエクステンションを実施し、累計約60億円を調達したと発表した。
今回の追加ラウンドには、物流大手のAZ-COM丸和ホールディングスが新たに参加している。調達資金は、金融とWeb3の両領域におけるエコシステム拡大に活用する方針だ。
JPYCは2025年10月の日本円ステーブルコイン「JPYC」発行開始以降、クレジットカード払いやWeb3ウォレットでの決済利用を広げてきた。
2026年には、実店舗での決済スキーム実現に向けた複数のプロジェクトも動き始めている。
JPYCは日本円と1対1で交換でき、預貯金や国債を裏付け資産とする。
現在はAvalanche、Ethereum、Polygon、Kaiaの4チェーンで発行されており、今後も対応チェーンの拡大を検討している。
また、2026年7月に閣議決定された「骨太の方針2026」では、オンチェーン金融(※)の推進が示されている。
JPYCはAZ-COMグループの物流網との連携を通じ、商流・物流・金流が一体となるオンチェーン金融の実現を目指す。
※オンチェーン金融:ブロックチェーン上で、ステーブルコインなどによる資金決済と、商流や物流などのデータ管理をプログラムによって連動させ、一体的に処理する金融の仕組み。
実需拡大が焦点、JPYCは決済インフラとして定着するか
今回の資金調達により、JPYCの利用領域がオンライン決済にとどまらず、実店舗や物流、企業間取引へ広がる余地が生まれることは大きなメリットだろう。
物流事業者との連携が進めば、実際の商流や物流網を活用した利用事例を構築しやすくなり、決済と取引データの連動による入金確認や照合作業の効率化、資金移動の迅速化も期待できる。
一方、社会実装が進むほど、既存の決済・会計・物流システムとの接続や、複数チェーンを前提とした資産管理、セキュリティ対策などの負担は増すとみられる。
一般利用者にとってウォレット管理や送金操作が複雑なままであれば、既存のQRコード決済や銀行振込から利用を切り替える動機を生み出しにくい可能性もある。
今後は、調達資金を活用し、JPYCを実際に利用できる場面をどこまで増やせるかが焦点となりそうだ。
特に物流や企業間取引で、受発注や配送などのデータと資金移動を連動できれば、既存の決済手段とは異なる価値を示す契機になり得る。
具体的な導入事例を積み重ねられるかが、社会実装の広がりを左右すると考えられる。
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