京王電鉄と米Nōka.AIは、日本国内で奥多摩やまめ養殖最適化プロジェクトを開始すると発表した。生物学的推論AIを活用し、成長、飼料効率、品質の安定化を科学的に検証する。
奥多摩やまめ養殖をAIで最適化
2026年7月7日、京王電鉄とNōka.AIは、2026年7月8日から9月まで「奥多摩やまめ養殖最適化プロジェクト」を共同で実施すると発表した。
対象は、京王プラザホテル八王子の遊休施設を活用したアクアポニックス事業で生産する奥多摩やまめである。
同事業は、京王電鉄のオープンイノベーションプログラム「My turn」から生まれた新規事業化案件だ。
現在使われていない温浴施設内で、奥多摩やまめやクレソンなどを育て、「ホテルで育て、ホテルで味わう究極の地産地消」を掲げている。
奥多摩やまめは、川魚を生食できる希少性や身質の良さから、料理人や食通に注目されるブランド魚とされる。
一方で、高付加価値な食材として飲食店へ継続供給するには、成長過程を科学的に把握し、生産効率と品質を安定させる仕組みが課題となっていた。
本プロジェクトでは、Nōka.AIが開発した生物学的推論AI(※)を用い、飼料、養殖環境、品質予測の三つを検証する。
魚の代謝データを解析して有効な栄養素を特定し、水温、溶存酸素量、pH、養殖密度などと生体状態の関係も分析する計画だ。
※生物学的推論AI:遺伝子、血液、筋肉成分などの生物学的データを統合し、魚類細胞の機能や代謝、環境条件の影響を解析するAI。経験則ではなく、生体メカニズムに基づく判断を支援する。
予測型養殖は食材供給を変えるか
今回の取り組みは、養殖現場を「勘と経験」中心の運用から、データに基づく予測型の生産へ移行させる試みと言える。
成長に有効な栄養素や環境条件が明確になれば、飼料効率の改善や育成期間の最適化につながり、限られた施設でも安定した生産を目指しやすくなるだろう。
特に注目できるのは、収穫前の段階で成長性や品質を予測する仕組みである。
分子・代謝データに基づく早期バイオマーカーパネルは、養殖を事後管理型から予測管理型へ移行させる鍵になり得る。育成中に成長や品質の兆候を把握できれば、生産者は先回りした調整を行いやすくなるはずだ。
また、飲食店やシェフに対して、希少性の高い奥多摩やまめを継続的に供給しやすくなる点もメリットだろう。
京王沿線発の新たな食文化を打ち出すうえでも、品質の安定化はブランド価値を高める重要な要素となり得る。
一方で、生物データの取得、AIモデルの学習、現場での検証には時間と精度が求められる。魚の成長は環境変化の影響を受けるため、短期間の実証だけで汎用的な成果を得られるとは限らない。
今後は、奥多摩やまめで得た知見をどこまで再現性のある養殖手法として確立できるかが焦点となりそうだ。
京王電鉄株式会社 ~AIで、日本の養殖を『予測可能』な産業へ ~京王電鉄とNōka.AI、日本初の「生物学的推論AI」を活用した奥多摩やまめ養殖最適化プロジェクトを開始
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