米SpaceXAIはAIモデル「Grok 4.5」を発表した。コーディング、エージェント型タスク、知識業務に重点を置き、Grok BuildやCursor、同社APIで提供を開始している。
Grok 4.5、開発支援からOffice業務まで対応
2026年7月8日にリリースが発表されたGrok 4.5は、コード、科学、工学、数学を含むデータセットで学習し、複数段階のソフトウェア開発や技術作業を重視して強化学習されたモデルである。
学習には数万基規模のNVIDIA GB300 GPUを使用し、重複除去や品質評価、分野別選別でデータ精度を高めたという。
公開評価では、長時間のソフトウェア開発課題を解く力を見るSWE Marathonで29.0%を記録し、Opus 4.8の26.0%やFableの24.0%を上回った。ただ、コード修正を自律的に進める能力を測るDeepSWE 1.0では62.0%、改訂版のDeepSWE 1.1では53.0%となり、FableやGPT 5.5には届いていない。
端末でコマンドを実行しながら課題を解くTerminal Bench 2.1では83.3%だった。実在の開発案件に近い問題を扱うSWE Bench Proでは64.7%を記録しており、指標ごとに順位は異なる。
提供速度は毎秒80トークンで、SWE Bench Proの1タスク当たり平均出力は1万5,954トークンだった。SpaceXAIによれば、Opus 4.8の6万7,020トークンと比べて約4.2分の1であるという。API価格は100万入力トークン当たり2ドル、出力は6ドルに設定された。
利用先はGrok Build、Cursorの全プラン、SpaceXAIのAPIコンソールである。Grok Buildでは標準モデルとなり、Webアプリ構築に加え、Excelの数式や複数シートを使ったモデル作成、PowerPointの図解、Wordの文章作成にも対応する。EUでは未提供で、7月中旬の対応を予定している。
低コスト化が追い風、実務評価の蓄積が焦点
Grok 4.5の利点は、高速な生成と少ない出力トークンを組み合わせ、長時間の開発作業にかかる時間と費用を抑えられる可能性にある。コード生成だけでなく、表計算や資料作成まで同じモデルで扱えるため、複数のAIサービスを使い分ける負担も軽減できるだろう。
ただし、ベンチマークの順位が一定でない以上、特定の数値だけで総合的な優劣を判断するのは難しい。導入時には、自社のコード基盤や業務文書を用いて、精度、速度、再現性を検証する必要がある。また、出力トークンの少なさが、複雑な案件でも品質を落とさず維持されるかが重要になる。
今後は、モデル単体の最高性能よりも、処理速度、トークン効率、料金、外部ツール連携を含む総合的な生産性が競争軸になりそうだ。公表通りの効率を実運用でも維持できれば、SpaceXAIは開発者向け市場に加え、企業の知識業務を支える基盤として存在感を高める可能性がある。
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