NTTドコモは、ノキア製のAI通信最適化システム「MantaRay AutoPilot」を国内で初めて導入したと発表した。
パブリッククラウド上のシステムからドコモネットワークを最適化する運用にも世界で初めて成功したという。
ドコモ、AIで通信品質最適化を自動化
ドコモは2026年6月19日、モバイルネットワークの通信品質を自動で最適化するノキア製「MantaRay AutoPilot」を導入したと、同月22日に発表した。
これにより、運用者が設定した品質目標を起点に、AIが基地局の通信品質やトラヒックを分析し、改善すべきパラメータや設定変更ポリシー(設定値や実行タイミング)をリアルタイムに導き出す体制が整った。
同システムは既存の「MantaRay SON(※1)」と連動し、最短15分間隔でクローズドループ(※2)制御を最適化する。
従来のSONでも自動制御は可能だったが、改善対象の設計や設定変更ポリシーは人手に依存していた。
今回の導入で、混雑する場所や時間帯に応じた調整をAIが昼夜を問わず回す運用へ移行する。
加えて、ドコモは本システムをパブリッククラウド上に構築し、クラウド環境からネットワーク最適化を行うことにも成功した。
ハードウェア調達に左右されることなく、迅速なシステム導入の実現や他のAI基盤との連携にもつながる構成である。
※1 MantaRay SON:基地局同士が連携し、電波状況に応じて通信設定を自動調整するノキアのSON製品。
※2 クローズドループ:システムが状況を監視し、変化に応じて自動で制御を繰り返す仕組み。
省人化と高精度化が進む一方、運用統制が焦点か
「MantaRay AutoPilot」導入最大の利点は、通信品質改善の速度と粒度が大きく向上する点だろう。
人手では追従しにくい混雑変動に対し、AIが短周期で判断を更新できれば、利用者は都市部やイベント時でも安定した通信を得やすくなると考えられる。
通信事業者側でも、設定変更や効果測定に割く工数を圧縮でき、運用の省人化が進む可能性が高い。
一方で、AIが自律的に最適化を進めるほど、判断の透明性と安全性が重要になるだろう。
誤った推論や設定変更が広域に波及すれば、品質劣化を招くリスクは残る。
したがって、完全自動化の追求だけではなく、監視・検証・停止の仕組みを含むガバナンス設計が不可欠になりそうだ。
将来的には、TM Forumが定義する「自律型ネットワーク レベル4(※3)」への接近が焦点となるだろう。
実運用で有効性が確認されれば、同様のAI運用は国内通信各社にも広がる余地がある。
ただし、標準化と説明責任を伴わない導入は定着しにくいと考えられるため、AI活用の価値は運用の巧拙で大きく変わると言える。
※3 自律型ネットワーク レベル4:AIが状況を予測し、人間の指示なしに自律的にネットワークの制御や管理を行う段階。
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