2026年6月17日、富士通と日本IBMは業務システムのモダナイゼーション領域における協業強化を発表した。富士通の「Fujitsu PROGRESSION」とIBMのAIエージェント「IBM Bob」を組み合わせ、COBOL資産のJava化とシステム再設計を推進する。老朽化した基幹システムの刷新を通じ、日本企業のデジタル変革を加速させる狙いだ。
AI活用でCOBOL資産の近代化を支援
富士通と日本IBMは、企業が保有するレガシーシステムの刷新に向けた協業を拡大する。対象となるのは、富士通のメインフレームやUNIXサーバー上で稼働するCOBOLアプリケーションである。
今回の取り組みでは、富士通のソースコンバートソリューション「Fujitsu PROGRESSION」を活用し、COBOLプログラムをJavaへ変換するリライトを実施する。さらに、日本IBMはAIエージェント「IBM Bob」を用いて、変換後のコード補正やリファクタリング(※)を支援する。
背景には、日本企業が抱えるレガシーシステム問題がある。長年運用されてきたCOBOL資産は重要な経営資産である一方、AI活用やデータ連携を前提とした新たなシステム環境への対応が課題となっている。
加えて、富士通はメインフレームを2035年度、UNIXサーバーを2034年度に保守終了する方針を示している。レガシー技術者の高齢化や人材不足も進む中、既存資産を維持しながら次世代基盤へ移行する需要は急速に高まっている。
※リファクタリング:ソフトウェアの機能を維持したまま内部構造を改善し、保守性や拡張性を高める開発手法。
DX加速の追い風に 移行判断の難しさも
今回の協業の意義の一つは、単なるシステム移行にとどまらず、将来のAI活用を見据えた基盤づくりを支援する点にあると考えられる。Java化によってオープン環境への対応が進めば、クラウド活用や外部サービス連携の自由度が高まり、企業のDX推進を後押しする可能性がある。
また、AIによるコード解析やテスト支援が普及すれば、慢性的なIT人材不足の緩和に寄与する可能性がある。これまで長期間を要していたモダナイゼーション案件の効率化が進み、企業は新規サービス開発へより多くの経営資源を振り向けられるようになるかもしれない。
一方で、すべてのシステムがJavaへの移行に適しているわけではない。業務要件やシステム構造を十分に分析せず移行を進めれば、コスト増加や品質低下を招くリスクも残る。AIによる自動化が進んだとしても、業務知識を踏まえた設計判断は引き続き重要になるとみられる。
今後、日本企業では生成AIの活用と並行してレガシー刷新への投資が本格化する可能性がある。富士通と日本IBMの協業は、老朽化した基幹システムを抱える企業にとって、有力なモダナイゼーションの選択肢の一つとして注目されることになりそうだ。
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