東京都のアライドアーキテクツはNyx Foundationと共同で、AIエージェントを活用したDeFiプロトコルのセキュリティ耐性チェックの実証実験(PoC)を開始すると発表した。
オンチェーン金融市場の拡大を背景に、運用やガバナンスを含めた新たな安全性評価手法の確立を目指す取り組みである。
AIでDeFiの安全性を多角的に検証
アライドアーキテクツは2026年6月10日、Nyx Foundationと共同で、AIエージェントを活用したDeFiプロトコルのセキュリティ耐性チェックに関するPoCを開始すると発表した。
対象は分散型取引所、レンディング、利回り型ステーブルコイン、利回りトークン化プロトコルなどの代表的なDeFiカテゴリーであり、2026年内の完了を予定している。
背景には、DeFi市場やステーブルコイン市場、RWA(※)市場の拡大がある。
一方で近年の大型事故ではコードそのものではなく、運用や設定、人為的な管理体制に起因する問題が顕在化している。
両社はこうした課題に対応するため、コードだけでなくガバナンスや運用面も含めた評価を実施する方針だ。
PoCでは、AIバグ発見システム「SPECA」と形式検証エージェントを活用する。既知の脆弱性との整合性確認、コントラクトロジックの網羅的検証、ガバナンスや権限管理の確認、攻撃再現テストなどを行う計画である。
さらに、攻撃発生時の最大損失額を期待損失として定量化し、第三者が検証可能な判断根拠の提示も目指す。検証プロセスはJSON形式のログとして記録され、脆弱性が疑われる箇所についてはPoCコードによる再現確認も行われる。
各社の役割も明確だ。Nyx Foundationが検証実務とレポート作成を担い、アライドアーキテクツは監査やガバナンスの知見提供、対象プロトコルとの連携支援、国内向けの調査や普及活動を担当する。
両社はPoC完了後、検証パターンの蓄積や標準化を進めるほか、検証ログや攻撃再現コードをライブラリとして公開していく考えを示している。
※RWA:Real World Assetsの略。債券や不動産など現実世界の資産をブロックチェーン上でトークン化したもの。
AI監査の普及がもたらす期待と課題
この取り組みが発展すれば、これまで専門家の経験に依存しやすかったセキュリティ評価の再現性向上につながる可能性がある。
継続的なチェックが実現すれば、アップデートのたびに同じ基準で検証しやすくなり、品質管理の効率化も期待できるだろう。
また、最大損失額を定量的に示す仕組みが整えば、企業や投資家がリスクを比較しやすくなるかもしれない。安全性を感覚ではなく数値で評価できれば、オンチェーン金融への参入判断を支える材料の一つになり得る。
ただし、AIによる評価結果をどこまで信頼できるかという課題も残る。
攻撃者は常に新しい手法を模索しており、過去の事例や既知のパターンだけでは把握できないリスクも存在する。
さらに、設定ミスや人的判断による運用上の問題は環境ごとに異なるため、AIだけで完全に検出することは容易ではないとみられる。
今後は検証ログや攻撃再現コードが蓄積され、第三者による検証が可能な仕組みが広がるかが注目点となるだろう。
透明性の高い評価基盤が形成されれば、DeFi業界全体の信頼性向上につながる可能性がある一方、その標準化や運用ルールの整備も重要なテーマになりそうだ。
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