国内上場企業のアライドアーキテクツは、イーサリアム研究を手がけるNyx Foundationとの提携を発表した。
AIエージェントを用いてオンチェーン資産運用システムのセキュリティ耐性を検証する共同研究を進め、企業向けWeb3支援へ活用する方針だ。
AIエージェントでWeb3資産運用の安全性を検証へ
2026年5月15日に発表された提携により、アライドアーキテクツとNyxは、オンチェーン型資産運用システムに対する「セキュリティ耐性評価」の共同研究を実施する。
Nyxは、形式検証やプロトコルセキュリティ研究を専門とする組織であり、イーサリアム財団の助成プログラム採択実績も持つ。
公開監査コンテストでは17件の脆弱性を発見し、世界1位の報告件数を記録している。
今回の研究では、Nyxが主催するAIエージェント競技「ASCON(Agentic Simulation for eCONomics competition)」を活用する予定だ。
AIがパートナー候補となるシステムへ疑似的なハッキングを行うことで、脆弱性や耐性を客観的に分析する仕組みの構築を目指すという。
研究成果は、アライドアーキテクツが推進する「資産AX事業」に組み込まれる見通しである。
具体的には、企業が連携するブロックチェーン上のパートナーが安全かどうかを、AIが事前にチェックする機能に組み込まれるという。
本件の背景には、ステーブルコインやRWA(実物資産トークン化※)市場が進む一方で、導入に向けた課題が残っている状況がある。
同社は、日本企業のWeb3参入には「知識の壁」「実務の壁」「信頼の壁」が残ると説明しており、特にどの技術やパートナーが安全なのかを見極める手段が不足しているという。
今回の研究は、その課題解消を狙う取り組みとして位置付けられている。
※RWA(実物資産トークン化):不動産や債券など現実資産をブロックチェーン上でデジタル化し、売買や管理を可能にする仕組み。
AI監査の普及でWeb3参入加速も、過信は禁物か
今回の取り組みは、Web3領域における「AIを活用したセキュリティ検証」の実用化を前進させる可能性がある。
従来のスマートコントラクト監査は専門人材への依存度が高く、コストや期間が導入障壁になっていたと思われるが、AIによる自動検証が高度化すれば、企業は複数のシステムを短期間で比較しやすくなり、Web3導入の意思決定を進めやすくなるだろう。
また、AIによる継続監視や耐性分析が一般化すれば、金融や不動産、物流など幅広い分野でオンチェーン活用が拡大する可能性もある。
一方で、AIによるセキュリティ評価には限界も存在するはずだ。
未知の攻撃手法やゼロデイ脆弱性へのAIの判定を過信すれば、新たなリスクを生む可能性も否定できない。
今後は、AIによる自動監査と、人間による監査・形式検証をどのように組み合わせるかが重要になりそうだ。
単なる効率化ツールではなく、「信頼を可視化するインフラ」としてAIを活用できるかが、日本企業のWeb3本格参入を左右するためのポイントになるだろう。
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