NTT、SKグループ、中華電信、日本政策投資銀行およびYoung Sohn氏は、次世代AIインフラの構築を目的とした投資ファンド「IOWN AI Fund」の組成を発表した。
世界各地の有望スタートアップへの投資を通じて、IOWNを中心としたグローバルな技術エコシステムの形成を目指す。
NTTらがIOWN AI Fundを組成へ
2026年6月10日、NTT、SKグループ、中華電信、日本政策投資銀行、そしてシリコンバレーの著名投資家であるYoung Sohn氏は、AI時代の基盤技術への投資を目的とした「IOWN AI Fund」を組成すると発表した。
あわせて、シリコンバレーと東京を拠点とする運営会社Catalight Capitalも設立される。
近年はフィジカルAIやAgentic AIの進展によって、AI活用の中心が大規模モデルの学習から推論処理へと移行している。
金融、自動車、製造業など幅広い産業でAI利用が拡大するなか、従来の巨大データセンター中心の構成から、エッジ環境を含む分散型インフラへの需要が高まっている。
さらに、AI計算量の急増に伴う電力消費の増大も重要課題となっている。
こうした背景から、ネットワーク、コンピューティング、電力を一体的に最適化するIOWN(※)の重要性が高まっており、光電融合技術やフォトニクス関連技術は次世代AIインフラの中核分野として注目を集めている。
同ファンドはフォトニクス技術、AI向け半導体、先端パッケージング、光デバイス、分散型AI基盤制御、AIソフトウェア、AIモデル・推論、産業向けアプリケーションまで幅広く投資を行う方針だ。
北米を中心にアジアや欧州の有望企業を対象とし、アーリーからグロース段階までを支援する。
現在、世界20社以上が出資に関心を示しており、ファンド規模は約800億円となる見込みである。
※IOWN:Innovative Optical and Wireless Networkの略。光技術と無線技術を活用し、通信・計算・電力を統合最適化する次世代情報通信基盤構想。
AIインフラ競争で存在感高める可能性
今回の取り組みは、AI競争の主戦場がモデル開発からインフラ整備へ広がる流れを象徴する動きと言える。
近年は高性能GPUや電力確保がAI開発の競争力を左右するようになり、基盤技術への投資価値が一段と高まっている。
特にIOWN AI Fundは、単なる資金供給にとどまらず、通信事業者、金融機関、半導体分野の専門家が連携する点が特徴と言える。
投資先企業は資金だけでなく、技術評価や事業提携、顧客開拓などの支援も受けられるため、研究開発成果の社会実装が加速する可能性がある。
また、シリコンバレーと東京を拠点とする体制は、日本企業が海外の先端技術やスタートアップとの接点を強化する機会にもなり得る。
日本発のIOWN構想を国際的なエコシステムへ発展させるうえで、重要な役割を担うことが期待できる。
一方で、AIインフラ分野は巨額の投資を必要とし、市場環境や技術トレンドの変化も激しい。
投資先企業の成長や技術の実用化が想定どおり進まなければ、十分な成果を得られないリスクも考えられる。
今後は、ファンドがどのような企業へ投資し、IOWNとの連携を通じて実際の事業創出につなげられるかが注目できる。
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