2026年6月8日、富士フイルムシステムサービスは、JR東日本クロスステーションの協力のもと、東京都内の「NewDays」店舗で画像認識AIと販売データを活用した実証実験を開始した。スタッフの経験に依存しがちな商品棚の陳列判断をデータで支援し、小売現場の効率化と売上強化の両立を目指す。
AIが商品棚を解析し売り場判断を支援
今回の実証実験は、東京都内のNewDays1店舗を対象に、飲料と菓子類の商品棚の陳列判断を支援する仕組みの有効性を検証するものだ。実証期間は2026年6月8日から9月30日までの約4カ月間を予定している。
店舗スタッフはタブレット端末で商品棚を撮影し、画像認識AI(※)が陳列された商品を自動で識別する。その情報を定期的に更新される販売データと連携させることで、商品ごとの販売動向を画面上に可視化する仕組みとなっている。
これにより、売れ筋商品や販売が伸び悩む商品の状況を直感的に把握し、商品の配置変更や入れ替えの判断を行いやすくなる。従来は経験豊富なスタッフの知見に依存する傾向が強かった売り場づくりに対し、データにもとづく意思決定を支援する点が特徴だ。
実店舗の商品棚は、商品の形状やパッケージの類似性に加え、陳列状態によって見え方が変化するため、画像認識の難易度が高い領域として知られている。富士フイルムシステムサービスは、疑似的な棚画像を活用した学習データと独自の識別技術を組み合わせ、新商品でも追加学習なしに判別できる仕組みを構築した。複数店舗での展開も視野に入れ、小売店舗向けサービスとしての実用化を目指す。
※画像認識AI:画像内の物体や特徴を解析し、対象を識別・分類する人工知能技術。小売分野では棚監査や在庫管理、購買分析などへの活用が進んでいる。
売り場の属人化解消とAI活用の課題
今回の取り組みは、小売業界が抱える人手不足や業務の属人化といった課題に対する新たなアプローチとして注目される。経験の浅いスタッフでも販売状況を把握しやすくなれば、売り場づくりの品質を一定水準で維持しやすくなり、教育負担の軽減や業務効率化につながる可能性がある。
また、販売データと実際の棚の状況を結びつけることで、「何が売れたのか」だけでなく、「どのような陳列と販売動向に関連性が見られるのか」を把握しやすくなることも期待される。富士フイルムシステムサービスは今後、商品の品揃えや陳列位置の変更を支援する機能の検討を進めるとしており、将来的にはAIによる提案機能がさらに高度化していく可能性もある。
一方で、売り場づくりには地域特性や時間帯、天候、イベントなど数値化しにくい要素も少なくない。データ分析に過度に依存した場合、店舗独自の工夫や現場の柔軟な判断が十分に反映されにくくなる懸念も考えられる。
AIによる提案を絶対視するのではなく、現場スタッフの経験や感性と組み合わせて活用する視点も求められるだろう。小売業界におけるAI導入は、人の判断を支援・高度化する技術として受け入れられるかが、今後の焦点となりそうだ。
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