PwC Japanグループは、先端技術を保有する企業や研究機関向けに「重要技術流出対策インテリジェンス・アドバイザリー」の提供を開始した。
独自AIと地政学・サイバーインテリジェンスを組み合わせ、重要技術の流出リスクを可視化し、対策立案までを支援する。
独自AIで重要技術の流出リスクを分析
PwC Japanは2026年6月4日、新サービス「重要技術流出対策インテリジェンス・アドバイザリー」の提供を開始した。
対象は半導体やAIなどの先端技術を保有する企業や研究機関であり、産業スパイやサイバー攻撃などによる技術流出リスクを可視化し、具体的な対策の立案までを支援する。
近年は重要技術を巡る国際競争が激化している。
各国で輸出管理や経済安全保障関連法制の整備が進む一方、共同研究や採用活動、内部協力者の取り込みといった人的経路を通じた流出リスクも拡大している。
さらに、標的型攻撃などサイバー空間を悪用した侵害も増加しており、企業には従来以上に包括的な防御体制が求められている。
今回のサービスでは、PwCコンサルティングが開発したAI分析ツール「Intelligent Business Analytics」を活用する。
同ツールは特許情報や投資データを収集・分析し、市場や研究開発の動向から価値の高い技術領域や対象となり得る組織・個人を抽出する仕組みである。
さらに、PwC Japanが持つ地政学分析やグローバルで収集したサイバーインテリジェンス(※)を組み合わせることで、どの技術が、誰から、どのような目的で狙われる可能性があるのかを分析する。
加えて、人的リスクや技術システムの評価を実施し、実行可能な対策ロードマップの策定までをワンストップで支援するとしている。
※サイバーインテリジェンス:サイバー攻撃を行う組織や攻撃手法、脆弱性、被害事例などの情報を収集・分析し、防御やリスク管理に活用する情報活動の総称。
AI活用で防衛強化も情報管理の高度化が課題
今回の取り組みは、技術流出対策が単なる情報セキュリティの問題から、経済安全保障の課題へと変化していることを象徴するものと言える。
重要技術の流出経路が多様化するなか、システム防御だけでは十分とは言えなくなりつつある。
研究者の異動や外部組織との連携を含めた総合的なリスク管理が、競争力維持の鍵になると考えられる。
AIを活用して技術価値や脅威アクターの関心を分析できれば、限られた予算や人員を優先度の高い領域へ集中させやすくなるだろう。
特に研究開発型企業では、どの技術が競争力の源泉となっているかを客観的に把握し、防御対象を明確化できる点が大きな利点と言える。
一方で、技術流出対策の高度化は組織運営に新たな負担をもたらす可能性もある。研究者や技術者への監視が過度になれば、研究活動や人材交流の自由度を損なう懸念も生じる。
グローバルな共同研究が進むなか、情報保護とイノベーション促進のバランスをどう取るかは重要な課題となりそうだ。
今後、AIや量子技術、先端半導体など安全保障上の重要性が高い分野では、こうしたリスク分析サービスへの需要が拡大する可能性がある。
技術そのものだけでなく、それを生み出す人材や研究ネットワークを含めて守る体制づくりが、日本企業の競争力維持を左右する要素となるかもしれない。
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