2026年5月27日、一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構(CODA)が、生成AIサービスによる著作権侵害の現状に関する声明を発表した。出版、アニメ、映画、ゲーム業界などが連携し、無許諾学習や酷似生成物の問題について「看過できない」と強い懸念を示している。
CODA、生成AIの権利侵害問題に声明
CODAは今回の声明で、生成AI事業者に対し「既存著作物と同一または酷似する画像・映像の生成防止」を求めた。特に問題視したのは、日本の著名作品に類似した画像や映像が、作品名を直接指定しないプロンプトでも生成されるケースである。
声明では、ユーザーが意図せず著作権侵害に関与する危険性にも言及した。さらに、生成物についてAIに質問すると特定作品名を回答する事例が確認されているとし、既存作品との結び付きが技術的に認識可能な状態にあると主張している。
また、米国作品では類似画像が出力されにくい傾向があると指摘し、一部海外AI事業者が何らかの対策を講じている可能性にも触れた。その上で、日本コンテンツの権利保護については十分な対応が行われていないとの認識を示している。
CODAは、日本の著作権法第30条の4にも言及した。同条では一定条件下のAI学習利用が認められているが、現状の生成AIは既存作品そのもの、または酷似する出力を生成しているため、「非享受目的」の範囲を超える可能性があると指摘した。
さらに、事後削除対応だけでは不十分であり、事前許諾や出力フィルター整備を事業者責任として求めている。生成AIが社会に受け入れられるためには、クリエイターや権利者の権利尊重が不可欠だと強調した。
AI成長と権利保護 両立が焦点に
今回の声明は、日本のコンテンツ産業において、生成AIとの関係性を見直す議論が本格化しつつあることを印象づけた。これまで生成AIは「業務効率化」や「創作支援」の側面が注目されてきた一方、既存コンテンツ市場への影響を懸念する声も強まり始めている。
特に日本は、アニメ、漫画、ゲームといったIP(※)産業の国際競争力が高い。生成AIによって既存作品に酷似したコンテンツが大量流通した場合、クリエイターの収益機会やブランド価値へ影響を与える可能性がある。ユーザー側も、意図せず権利侵害に関与してしまうリスクが指摘されている。
一方で、AI活用そのものを過度に制限すれば、日本企業の技術競争力に影響を及ぼすとの懸念もある。海外ではAI企業と出版社、音楽会社などがライセンス契約を結ぶ動きも出ており、今後は「全面禁止」ではなく、「許諾」や「収益分配」を前提としたルール整備が議論の中心になる可能性もある。
将来的には、AI学習データの管理基盤や、権利者が利用可否を選択できる仕組みづくりが重要になると考えられる。生成AI市場が拡大を続ける中で、「創作保護」と「技術革新」をどう両立させるかが、日本のコンテンツ産業全体の大きなテーマになりそうだ。
※IP:Intellectual Propertyの略称。アニメ、漫画、ゲームなどの知的財産コンテンツやキャラクター事業を指す。
CODA(一般社団法人コンテンツ海外流通促進機構) ニュースリリース
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