OpenAIのサム・アルトマンCEOが、オーストラリア・シドニーで開催されたコモンウェルス銀行(CBA)の会合に登壇し、AIによる大規模な雇用崩壊は想定ほど起きていないとの認識を示した。
アルトマン氏、AIの雇用破壊予測を修正
アルトマン氏は2026年5月26日、2022年のChatGPT公開当初に抱いていた「ホワイトカラー(※)雇用への急激な影響」に関する見通しについて、社会的・経済的影響の予測はかなり間違っていたとの認識を示した。AIの急速な開発と普及が世界的な「雇用の崩壊」につながることはなく、かつて自身が懸念していたほど多くのホワイトカラー職を奪っていないと、ロイターが同日報じた。
同氏は、「自分(の見通し)が間違っていてよかったと思っている。」「なぜそうならなかったのか、今はより理解できていると思う。ありがたいことだが、私の直感が完全に外れた分野だった。」とも述べた。
特に同氏が重視したのは、「人間的な部分」の価値であるという。
アルトマン氏は過去にSlackやメール返信の一部をAIへ委任していたものの、現在は自身で返信するやり方に戻したと説明した。
『これはサムのAIです』と明記した返信運用も試しており、「それは、私たちがどれだけ人を大切に思っているかを示す素晴らしい例だった」という。
一方で同氏は、「良い意味でも悪い意味でも、雇用の状況は私たちが考えていたものとは大きく異なる可能性が高いという考えに変わった」とも述べている。
※ホワイトカラー:主に事務職、企画職、管理職など、肉体労働ではなく知的労働を中心とする職種の総称。近年は生成AIの進化により、自動化対象として議論されることが増えている。
AI時代は「代替」より協業へ進む可能性
今回の発言は、生成AIを巡る議論が「全面代替」よりも、「人間との協業・補完」を前提とした活用が現実には先行していることを示す変化と言える。
実際、現在の企業導入では、AIが完全に業務を担うケースよりも、文章作成補助や検索、要約、顧客対応支援など、作業効率化を目的とした利用が中心となっている。単純作業は削減できても、最終判断や交渉、顧客との信頼構築まで完全自動化する難易度は依然高い。
一方で、安心論のみに偏ることも、現状ではリスクがあると見られる。AI活用が広がれば、一定の定型業務や初級職の役割が縮小するリスクは引き続き残るだろう。特に、単純な情報整理やルーチン型事務作業は、今後さらに自動化の圧力を受けると考えられる。
今後は、「AIに仕事を奪われる」ではなく、「AIを使いながら人間にしかできない価値をどう高めるか」が、企業と個人の双方に問われる局面へ移行していく可能性が高そうだ。
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