2026年5月25日、フリー株式会社(freee)が「シャドーAI」と「シャドーIT」に関する調査結果を公表した。調査では、66%の情シス担当者が2026年に入ってからシャドーAI利用の増加を実感する一方、対策実施企業は半数未満に留まる実態が明らかになった。
シャドーAI急拡大、対策追いつかず
freeeが全国の情報システム部門担当者633人を対象に実施した調査では、「2025年と比べて2026年の方がシャドーAI(※)利用は増えている」と回答した人が66.0%に達した。背景としては、スマートフォンでAIを利用する従業員の増加や、既存ツールへのAI機能標準搭載などが挙げられている。
また、「シャドーAI」と「シャドーIT」のどちらにリスクを感じるかという質問では、「シャドーAI」が47.2%となり、「シャドーIT」の27.5%を大きく上回った。一方で25.3%は「わからない」と回答しており、リスク認識そのものがまだ定着し切っていない実態もうかがえる。
可視化や対策状況については、企業側の対応の遅れが目立った。「シャドーAI」を完全に可視化できている企業は13.6%にとどまり、対策を実施できている企業も42.3%に留まっている。いずれも「シャドーIT」と大差ない水準であり、危機感に対して管理体制が追いついていない状況だ。
さらに、情シス体制の脆弱さも浮き彫りになった。調査では「専任なしの兼務体制」が20.4%、「専任1人」が22.6%となり、4割超の企業が“1人以下情シス”で運営されていることが判明している。AI活用推進とAIガバナンス強化を同時に担うには、人員不足が深刻化していると言える。
※シャドーAI:企業が正式に承認・管理していない生成AIツールを、従業員が独自に業務利用すること。機密情報流出やコンプライアンス違反のリスクが指摘されている。
AI活用拡大で問われる統制力
今回の調査結果は、日本企業における生成AI活用が、試験導入段階から実務利用段階へ広がりつつある可能性を示している。従業員単位で容易に生成AIを利用できる環境が整ったことで、業務効率化や生産性向上への期待は今後さらに高まると考えられる。
特に、議事録作成や文章生成、情報検索といった定型業務では、生成AIによって作業時間を削減できるケースも増えている。人材不足に悩む企業ほど、AIを業務補完の手段として活用する動きが広がる可能性がある。
一方で、統制が不十分なまま利用が拡大すれば、情報漏洩や著作権問題、誤情報生成といったリスクが高まる懸念もある。AIはクラウド型サービスとして提供されるケースが多く、入力データの扱いが見えにくくなりやすい点は、従来のシャドーITとは異なるリスクとして認識され始めている。
今後は単純な「利用禁止」ではなく、「安全に利用するための管理体制」へと企業戦略が変化していく可能性が高い。AI利用ガイドラインや可視化ツールの導入が進む一方で、情シス部門の負担増加につながる可能性もある。AI活用とガバナンスを両立できる企業ほど、DX推進において優位性を持つ可能性が高まりそうだ。
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