JPYC株式会社は、LINE NEXTが提供を開始したWeb3ウォレット「Unifi」で日本円ステーブルコイン「JPYC」が利用可能になったと発表した。
LINEアプリ上からアクセスできる環境を通じ、国内ユーザーのWeb3利用を広げる狙いだ。
LINE上でJPYC利用が可能に
2026年5月22日、JPYC株式会社は、LINEヤフーグループでグローバルWeb3事業を担うLINE NEXT Inc.が提供するWeb3ウォレット「Unifi」において、日本円ステーブルコイン「JPYC」が正式に採用されたと発表した。
UnifiはLINEアカウントを通じて利用を始められるノンカストディアルウォレット(※)であり、日本国内ではLINEアプリのミニアプリとして別途提供される予定である。
今回の連携により、ユーザーはLINEアプリ上からJPYCを管理し、今後は決済・送金・預け入れなどの機能を順次利用できる見通しだ。
背景には、Web3サービスの利用体験を一般ユーザーに近づける狙いがあると考えられる。
従来の自己管理型ウォレットは、秘密鍵管理やチェーン選択などが利用の障壁になりやすかった。
UnifiはLINEアプリから離脱せずに使える設計を打ち出しており、ブロックチェーンを意識しにくいUI/UXによって、ステーブルコインの利用範囲を広げる構想である。
JPYCは日本円と1対1で交換可能な日本円ステーブルコインで、裏付け資産は預貯金および国債によって保全される。
現在はAvalanche、Ethereum、Polygon、Kaiaの4チェーンで発行されている。
JPYC社によると、LINEアプリを通じたKaiaネットワーク上でのJPYC利用は国内初の事例になる。
※ノンカストディアルウォレット:暗号資産やデジタル資産の管理権限を、事業者ではなくユーザー自身が持つウォレット。自由度が高い一方、秘密鍵の管理責任も利用者側に生じる。
普及期待の一方で管理課題も
今回の連携のメリットは、日本円建てステーブルコインの利用導線が大きく簡略化される点にあるだろう。
普段使うLINEアプリ上でウォレット開設から資産管理まで完結すれば、Web3に不慣れな層でもデジタルマネーを扱いやすくなる可能性がある。
デジタルコンテンツ購入、コミュニティ報酬、キャンペーンリワードなど、少額かつ高頻度の取引領域では特に相性がよいと見られる。
また、日本円建てであるJPYCは価格変動の大きい暗号資産と異なり、金額感覚を日常の円建て取引に近づけやすい。
Kaiaネットワークが持つアジア圏のユーザー基盤と組み合わされば、国内サービスだけでなく、海外Web3サービスとの接続にも展開余地があると考えられる。
一方で、普及には課題も残る。
ノンカストディアル型は自己管理の自由度を高めるが、秘密鍵やアカウント管理の失敗が資産喪失につながる可能性がある。
さらに、決済・送金・預け入れが順次実装予定である以上、現時点では実利用の広がりを過度に見積もるべきではないだろう。
今後の焦点は、LINE上での手軽さと、金融サービスとして求められる安全性・説明責任をどこまで両立できるかにあると見られる。
JPYCがメッセージアプリ上の身近なデジタルマネーとして定着すれば、日本円ステーブルコインは投機的なWeb3領域から、日常決済や報酬支払いの実用基盤へ近づく可能性がある。
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