2026年5月21日、NTTドコモ モバイル社会研究所は、生成AIへの個人情報入力に関する意識調査の結果を公表した。肯定35%、否定38%と意見が拮抗しつつ、若年層ほど許容度が高い傾向が明らかになった。
個人情報入力巡り賛否分裂
同研究所は全国の15歳から69歳の男女8,938人を対象に調査を実施し、生成AI利用者4,476人の回答を分析した。「有効なアドバイスのために一定の個人情報入力はやむを得ない」との問いに対し、「そう思う」は35%、「違うと思う」は38%、「どちらでもない」は25%となり、賛否が拮抗する結果となった。利便性とプライバシー保護の間で、判断が二分されている構図である。
性年代別では、10〜20代男性が42%、同女性が41%と、若年層ほど肯定的な傾向が見られる。一方で中高年層では慎重な回答が増え、世代間で意識の差が浮き彫りとなった。さらに「面白いコンテンツ制作のために顔写真を登録すること」については、「そう思う」が24%にとどまり、「違うと思う」が51%と過半を占めた。個人情報の中でも、生体情報(※)に対する抵抗感の強さが確認された。
加えて、「生成AIを提供する企業は情報を適切に管理していると思うか」という問いには、「そう思う」が39%、「どちらでもない」が33%、「違うと思う」が24%だった。一定の信頼はあるものの、判断を保留する層も多く、企業への信頼は過渡期にあるとみられる。利便性と安全性のどちらを重視するかでは、「安全性重視」が39%で「利便性重視」の16%を上回り、生成AIに対しては比較的慎重な姿勢が示された。
※生体情報:顔画像や指紋、虹彩など個人の身体的特徴から本人を識別できる情報。漏えい時の影響が大きく、一般の個人情報より厳格な管理が求められる。
利便性とリスクの均衡、信頼が鍵
今回の調査結果は、生成AIの価値が「利便性の高さ」だけで評価される段階から変化しつつある可能性を示している。一定の個人情報を入力することで回答精度が向上する点は指摘されており、パーソナライズされた提案や意思決定支援の高度化につながるとみられる。特に若年層の許容度の高さは、今後のサービス進化に影響を与える要素の一つになり得る。
一方で、情報漏えいや不正利用といったリスクへの懸念も引き続き存在する。顔写真などの生体情報は一度流出した場合の影響が大きく、慎重な取り扱いが求められる領域といえる。企業への信頼が「どちらでもない」に留まる層が一定数存在することは、透明性や説明責任のあり方に対する評価が定まりきっていない状況を示唆しているとも考えられる。
今後は、ユーザーがどこまで情報提供を許容するかがサービス設計に影響を与えるとみられる。利便性と安全性のバランスをどう取るかに加え、データ利用の可視化や選択肢の提示が競争力に影響する可能性がある。生成AIが社会基盤として定着していく過程では、技術面に加えて信頼構築の取り組みも重要性を増していくと考えられる。
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