2026年5月19日、中国外務省は米国との首脳会談を受け、AIに関する政府間対話の実施で合意したと発表した。開発競争が続く中、ルール形成での協調に踏み出す動きとして注目される。
米中、AI政府間対話で合意
中国外務省の郭嘉昆報道官は、先週実施された米中首脳会談において、AIに関する政府間対話の実施で両国が合意したと明らかにした。AI分野で主導権争いを続けてきた両国が、政策レベルでの協議に乗り出す形となる。
郭報道官は、中国と米国がAI大国として連携し、技術の発展とガバナンス(※)の双方を推進すべきだと述べた。AIを文明の進歩や国際社会の福祉に役立てる必要性を強調した発言といえる。
また、米国のベッセント財務長官も14日、テロ組織などによるAIの悪用を防ぐため、中国と共通ルールの構築を目指す考えを示していた。こうした動きが今回の合意につながった可能性がある。
AIを巡っては、軍事転用や偽情報拡散などのリスクが国際的な課題となっている。競争の激化と並行して、規制や倫理の枠組み整備が急務とされてきた経緯がある。
※ガバナンス:AIの開発や運用に関するルールや倫理、制度の枠組みを指す。安全性や透明性を確保しつつ、社会実装を適切に進めるための統治概念。
協調の利点と覇権競争の壁
今回の合意は、AIの国際ルール形成に向けた前進と捉える見方がある。米中が一定の共通認識を持つことで、悪用防止や安全基準の整備が進む可能性がある。特に、生成AIの普及が加速する中で、最低限の国際基準が整う意義は小さくない。
一方で、両国の対立構造は依然として強いと指摘されている。半導体規制やデータ主権を巡る摩擦が続いているとされ、対話が実質的な合意に結びつくかは不透明な状況にある。形式的な枠組みにとどまり、実効性を欠くリスクも考えられる。
今後は、対話の具体的な議題や合意内容が焦点になるとみられる。安全保障と経済競争の間でバランスを取れるかが問われる局面であり、AIガバナンスの主導権争いは新たな段階に入る可能性もある。
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