米ロイター通信は、米歌手テイラー・スウィフト氏が自身の音声と画像について商標を出願したと報じた。AIによるディープフェイク拡大を背景に、声や肖像の保護を強化する狙いがあるとされる。
声と画像を商標出願し保護強化
ロイターが2026年4月27日に報じた内容によると、出願は米特許商標庁に24日付で提出されたものであり、対象はスウィフト氏の音声クリップ2点と画像1点とされる。
権利管理はスウィフト氏の知的財産を扱う企業「タス・ライツ・マネジメント」が保有者として記載された形だ。
出願資料に含まれる音声の一つでは、「こんにちは、テイラー・スウィフトです」と始まり、アルバム『The Life of a Showgirl』の案内が語られている。
画像はスパンコールの衣装を着用し、ピンクのギターを手にステージ上に立つ姿とされる。
これまでスウィフトさんの声や画像は、虚偽広告や政治的主張を含むディープフェイクに利用された経緯があると報じられている。一方で、27日時点で本人側の広報担当や弁護士からコメントは得られていないという。
出願を最初に伝えた商標弁護士ジョシュ・ガーベン氏は、「人工知能がもたらす脅威からテイラーさんを守るために特別に設計されたものだ」と述べている。
また、「現行のパブリシティー権法は有名人の肖像の無断使用に対して一定の保護を提供しているが、商標登録によって保護を一段と強化することができる」と指摘した。
AI時代の権利保護と影響
今回の事例は、音声や肖像といった個人資産の保護を強める手段として機能する可能性がある。特に生成AIの精度向上により本人との判別が困難なコンテンツが増加する中、法的な抑止力としての役割を担うとみられる。
一方で、権利の範囲が広がることで、表現活動や二次創作との線引きが複雑化する懸念もある。どこまでが正当な引用やパロディとして認められるかは、今後の法解釈や運用の推移を見守る必要があるだろう。
また、商標という制度を音声や肖像へ適用する流れが広がれば、他の著名人にも同様の対応が波及していくことも考えられる。
ブランド保護の一環としての側面が強まる一方で、管理コストや権利調整の負担増加が課題となる可能性も否定できない。
長期的には、AI生成物と実在人物の境界をどう定義するかが焦点となるだろう。
技術進化と法制度の間に生じるギャップをいかに埋めるかが、今後の知的財産戦略の成否に関わる重要な要素となるはずだ。
関連記事:
自民党が生成AI巡りディープフェイク対策を本格化 Google・Metaなど聴取

米ディープフェイク規制で初の有罪 性的画像700枚生成に法の網、AI悪用に転換点

AI無断利用のルール整備を推進 声も保護対象に拡張、法務省が指針策定へ
