2026年4月27日、東京商工リサーチが発表した調査により、日本企業で生成AIの組織的活用が拡大している実態が明らかになった。特に大企業では導入が加速し、業務効率化を背景に人員配置の見直しを検討する動きが広がっている。
生成AI導入、企業で本格化へ
調査によると、生成AIツールを「会社として活用を推進」と回答した企業は20.3%に達し、5社に1社が全社的な導入に踏み出している。「方針は決めていない」は37.5%と最多ではあるものの、前回の50.9%から大きく低下し、企業の姿勢が様子見から実行段階へ移行している状況が浮き彫りとなった。
規模別では大企業の進展が際立つ。「会社として活用を推進」は36.4%に上り、部門単位の活用を含めると59.1%と半数を超えた。一方、「個人で活用」は微減しており、属人的な利用から組織的な運用へのシフトが進んでいるとみられる。中小企業でも導入は広がりつつあるが、組織的活用は3割強にとどまり、規模間の差は依然として大きい。
産業別では情報通信業が64.4%でトップとなり、金融・保険業、サービス業が続いた。データ活用の基盤が整う業種ほど導入が進む一方、建設業や一次産業では方針未定の割合が高く、活用の進捗にはばらつきがある。
また、人員への影響については、今後5年で「影響がある」とする企業が53.4%に達した。内訳は「配置転換の可能性」が28.9%、「総従業員数の抑制」が16.1%であり、現時点では大規模な削減よりも業務効率化を起点とした人材再配置が中心となっている。なお、早期退職募集の可能性は3.6%にとどまり、雇用への直接的な影響は限定的といえる。
効率化の先にある組織変革
生成AIの導入がもたらす利点の一つは、業務効率の向上にあると考えられる。定型業務の自動化や情報整理の高度化により、企業は限られた人員でより多くの付加価値を創出できる体制へ移行しやすくなる。特に大企業では、配置転換を通じて成長領域へ人材を再配分する動きが加速する可能性が高い。
一方で、こうした変化は新たな課題も生む。業務の自動化が進むほど、従来のスキルに依存した人材の役割は縮小する可能性があり、再教育やリスキリングの必要性が高まると考えられる。適応の遅れはキャリア格差を拡大させる要因となりうるほか、現場での運用負荷やガバナンス整備の遅れもリスクとして残る。
今後は、単なるツール導入にとどまらず、業務プロセスや評価制度を含めた組織設計の再構築が求められる可能性がある。生成AIの活用が進むほど、人材戦略とテクノロジー戦略の統合が競争力を左右する要素となり、対応の巧拙が企業間の差を一層広げていく可能性がある。
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