2026年4月24日、アクセンチュアとSAPジャパンは、日本企業向けに基幹システム導入の投資規模と期間を圧縮する新プログラムを本格展開すると発表した。「AI前提」の設計へと抜本的に転換することで、創出した投資余力をさらなる業務変革へ再配分し、日本企業の競争力強化を図る。
AI前提で導入モデル刷新
両社は、基幹システム導入の進め方を抜本的に見直すプログラムを開始した。本取り組みはグローバル施策「ADVANCE」の一環として日本市場に展開され、長期化・大規模化しがちな導入構造の転換を狙う。
従来の日本の基幹システム導入では、業務要件に応じた個別開発やアドオンの積み上げにより、投資負担の増大と導入期間の長期化が常態化していた。これに対し、新プログラムではAI駆動型オペレーションを前提とし、経営判断や自動化に必要な最小限の要件とデータに絞り込む設計へと転換する。
技術面では「SAP Cloud ERP」や「Business Technology Platform」などのクラウド基盤を活用し、標準プロセス中心の実装を徹底する。また、テストや検証、データ移行といった工程にAIや統合ツール群を活用し、反復作業の自動化と品質確保を両立させる方針だ。
さらに、導入を単なるITプロジェクトではなく、業務改革(BPR)(※)やチェンジマネジメント、運用設計を含む一体的な変革として位置づける。構想策定から稼働後の定着・価値創出までを統合的に支援し、短期導入と継続的な高度化の両立を目指すとしている。
※BPR:Business Process Re-engineeringの略。既存の業務プロセスを抜本的に見直し、効率化や価値創出の最大化を図る手法。業務の再設計を伴う点が特徴。
効率化の恩恵と標準化の課題
今回のアプローチは、基幹システム導入のボトルネックを解消し、日本企業の変革スピードを高める可能性がある。短期間での立ち上げにより、創出された投資余力や時間をAI活用や業務改革へ再配分できる点は大きな利点となり得る。標準化されたデータ基盤は意思決定の迅速化にも寄与すると考えられる。
一方で、標準プロセスを前提とする設計は、企業固有の業務との適合に課題を残す可能性がある。従来はアドオンで対応してきた領域を標準へ寄せる必要があり、現場の業務変更や調整コストが発生するリスクもある。また、AI活用を前提とする以上、高品質なデータ整備や組織横断での統制体制の確立が重要になる。
今後は、導入スピードと業務適合性のバランスが競争力を左右する要素になるとみられる。標準化による効率を優先する企業と、個別最適を維持する企業で戦略が分かれる中、基幹システムは「長期投資」から「俊敏な変革基盤」へと役割を変えていく可能性がある。
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