2026年4月21日、DeNA子会社DeNA AI Linkは、社内リーダーの知見をAI化する「リーダーズAI」の提供を開始した。第一三共ヘルスケアで初導入され、属人化した判断の解消と意思決定の高度化を狙う。
リーダーの思考をAI化し共有
DeNA AI Linkが提供を開始した「リーダーズAI」は、組織内のリーダーが持つ判断基準や経験をAIとして再現し、全社員が活用できる環境を構築するサービスである。従来の生成AI(※)が汎用的な回答にとどまりやすい中、自社特有の戦略や価値観を反映した意思決定支援を可能にする点が特徴だ。
導入にあたっては、約3カ月にわたる設計プロセスを通じてリーダー本人へのインタビューを実施し、意思決定の背景や思想まで言語化する。単なるマニュアルの学習ではなく、「なぜその判断に至るのか」という思考プロセスをAIに組み込むことで、実務に即した回答精度を高めている。
第一三共ヘルスケアでは、内田高広社長の思考を反映した「AI内田さん」を開発し、社員が日常業務の中で経営視点を参照できる体制を整えた。提案前の壁打ちや企画検討に活用することで、意思決定のスピードと質の向上を狙う。DeNA社内でも先行導入され、時間や場所に依存しない意思決定支援によりプロジェクト停滞の抑制やマネジメント負荷の軽減といった効果が確認されている。
意思決定の民主化と依存リスク
リーダーズAIの導入は、属人化していた判断基準を組織全体へ展開する点で重要な意義を持つと考えられる。これにより、提案の精度向上や検討プロセスの効率化が進み、結果として組織全体の意思決定スピードが加速する可能性がある。特に、経験値の差による判断のばらつきを抑えられる点は、企業競争力の底上げにつながると見られる。
一方で、特定のリーダーの思考に依存しすぎることで、意思決定が画一化するリスクも存在する。過去の成功パターンが強く反映されたAIは、環境変化に対して柔軟に対応できない可能性があり、イノベーションの阻害要因となり得る。また、AIの回答が“正解”として扱われることで、現場の思考停止を招く懸念も否定できない。
今後は、AIを意思決定の代替ではなく思考を深める補助線として位置付けられるかが重要になると考えられる。複数のリーダーの知見を組み合わせたAIの構築や、対話を通じた思考育成の設計が進めば、組織の判断力そのものを底上げする基盤へと進化する可能性がある。
関連記事: