中国のAIスタートアップであるDeepSeekが、評価額100億ドルで少なくとも3億ドルを調達するため投資家と協議していると、The Informationが関係者からの情報として報じた。
高度な推論モデルやエージェント型AIの開発競争が激化する中、中国AI企業の資金需要が一段と高まっている。
評価額100億ドルで資金調達協議
2026年4月17日、The Informationは中国DeepSeekが、少なくとも3億ドルの資金調達に向けて投資家と協議しており、企業評価額は100億ドルに達する見通しであると報じた。事情に詳しい関係者からの情報とのことだ。
ただし、ロイターはこの報道を独自には確認できておらず、DeepSeekからのコメントも得られていない。
これまでDeepSeekは、中国の大手ベンチャーキャピタルやテック企業から複数の出資提案を受けながらも、多くを断ってきたとされる。
DeepSeekは、低コストで高性能な大規模言語モデルを実現したことで注目を集めた企業であり、2025年にはAI業界全体に大きな衝撃を与えた。
特に、少ない計算資源で高い性能を発揮する設計は、従来の「巨額投資が不可欠」というAI開発の常識を揺さぶった。
一方で、同社は開発中の次世代大規模言語モデル「V4」について、情報共有の対象を中国国内サプライヤーに限定し、NVIDIAなど米半導体企業を除外していると、ロイターは報じている。
現に、中国政府は国内企業に対し、国産プロセッサーの利用を促進しており、外国技術への依存を減らす方針を打ち出している。
しかし、最新モデルが米国の輸出規制下にあるNVIDIAの最先端AI半導体「ブラックウェル」(※)で訓練された可能性も取り沙汰されており、詳細は現時点では明らかになっていない。
※ブラックウェル:NVIDIAが開発した次世代AI向けGPUアーキテクチャ。大規模言語モデルや推論処理に適しており、生成AI開発向けの最先端半導体として注目されている。
資金調達競争がAI勢力図を変える
今回の資金調達協議は、生成AI業界が新たな段階に入ったことを示している。
従来は大規模言語モデルの開発そのものが競争の中心だったが、今後は高度な推論能力やエージェント型AIの実装、専用半導体の確保まで含めた総合力が問われるようになるだろう。
また、DeepSeekが100億ドル規模の評価を受ける場合、中国国内では有力AIスタートアップとしての地位をさらに固める可能性がある。
特に、低コストモデルを武器に新興国市場や企業向け導入を広げれば、米国勢に対する価格競争力は大きな強みとなり得る。
その一方で、中国企業である点は、米国のベンチャーキャピタルにとって投資判断上のハードルとなる可能性があり、地政学的リスクは依然として大きい。
加えて、半導体の輸出規制が強化されれば、先端GPUの確保やクラウド基盤の整備が難しくなり、開発速度に影響を与える懸念も残る。
今後は、中国政府による国産半導体支援策と、AI企業による資金調達の動きが連動し、中国独自のAIエコシステムが形成される可能性がある。
米中のAI競争は、モデル性能だけでなく、資金調達力や半導体供給網の確保まで含めた総合力が問われる局面に入りつつあると言えるだろう。
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