三菱UFJ信託銀行は、大阪の複合ビル「大阪堂島浜タワー」を投資対象とする不動産セキュリティ・トークンの公募および発行が完了した。
発行額は224億円で、デジタルアセット基盤「Progmat ST」を活用している。
MUFG、不動産ST「大阪堂島浜タワー」発行
2026年3月4日、三菱UFJ信託銀行は、連結子会社の三菱UFJ不動産投資顧問、野村證券、三菱UFJモルガン・スタンレー証券、スマートプラス、Progmat社と協業し、不動産セキュリティ・トークン(※)「MUFGリアルティ・トークン大阪堂島浜タワー(譲渡制限付)」の公募および発行を完了したと公表した。
発行総額は224億円で、投資対象は大阪市堂島浜に立地する複合高層ビル「大阪堂島浜タワー」である。
昭和から平成にかけて三菱グループの拠点として機能した「大阪三菱ビル」を再開発した複合施設で、オフィス、ホテル、商業施設などで構成される都市型資産である。
本トークンは、同ビルの不動産信託受益権の準共有持分50%を信託財産とする受益証券発行信託スキームを採用し、証券情報や取引情報をブロックチェーン基盤「Progmat ST」で管理する仕組みとなっている。
1口あたりの発行価格は100万円で、野村證券および三菱UFJモルガン・スタンレー証券が引受人を務めた。
また、販売面では三菱UFJモルガン・スタンレー証券とスマートプラスが共同運営するデジタル証券取引サービス「ASTOMO」を通じて個人投資家向けにも提供された。
Progmat社によれば、今回の発行により同基盤を用いたセキュリティ・トークンの累計発行額は2,269億円、案件数は45件に達したという。
※セキュリティ・トークン:株式や不動産などの資産に基づく権利をブロックチェーン上で発行・管理するデジタル証券。従来の証券と同様に金融規制の対象となるが、分散型台帳で権利管理を行う点が特徴。
不動産ST拡大の可能性と流動性課題
今回の案件は、日本の不動産セキュリティ・トークン市場の成長を象徴する動きといえる。
従来、大型不動産投資は機関投資家や富裕層が中心だったが、デジタル証券化により比較的小口の資金でも投資できる環境が広がるだろう。
1口100万円という設定は、個人投資家にとって大型不動産へのアクセスを広げる試みと評価できる。
また、ブロックチェーンを利用した権利管理は取引履歴の透明性を高める可能性がある。
金融機関や証券会社が共同でインフラを整備することで、市場の信頼性を高める効果も期待できそうだ。
一方で、不動産STには譲渡制限が付与されることも多いため、流動性が課題になると考えられる。
さらに、ブロックチェーン基盤やプラットフォーム運営の不確実性に伴い、取引処理や配当支払いが遅延する可能性も完全には排除できない。
こうした技術的・制度的な課題を解消できるかどうかが、今後の普及を左右する要素となるだろう。
それでも、銀行グループ主導の大型案件が積み重なれば、不動産だけでなくインフラ資産やファンドなど多様な資産のトークン化が進む可能性がある。
日本におけるデジタル証券市場は、制度と実務の両面で拡張フェーズに入りつつあると言える。
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