2026年3月2日、香川県は「AI技術活用加速化支援事業費補助金」の公募を開始すると発表した。令和8年度当初予算の議決を前提に、県内企業のAI開発を最大500万円まで支援する。地方発のAI投資支援が本格化する動きだ。
県内GPU活用を条件に補助
本補助金は、香川県内に本社または主たる事業所を有する企業を対象とする。中小企業、大企業いずれも応募可能で、県内事業所においてAI技術を活用した開発を行うことが要件となる。
最大の特徴は、県内に拠点を持つGPUデータセンター事業者のクラウドサービスを活用した実施計画が必須とされている点だ。GPU(※)は生成AIや画像解析など高度な並列演算を担う中核半導体であり、AI開発の基盤インフラに位置づけられる。
補助対象経費は、開発費、委託費、直接人件費、事務雑費など。補助率は中小企業が4分の3、大企業が3分の2で、補助額は1年度あたり200万円以上500万円以下となる。同一テーマでの申請は最長2年度までを予定し、毎年度の手続きが必要だ。
採択予定は2者程度。申請期間は2026年3月2日から4月17日までで、審査委員会によるプレゼンテーション審査を経て決定される。なお、本事業は令和8年度当初予算の議決がなければ効力は発生しない。
※GPU:Graphics Processing Unitの略。大量のデータを並列処理できる演算装置で、生成AIや機械学習モデルの学習・推論処理に広く用いられている。
地方AI戦略の好機と制約
今回の制度は、県内に進出したGPUデータセンターと地元企業を結びつける意図を持つ仕組みと捉えられる。計算資源と補助金を組み合わせることで、企業のAI導入ハードルを下げ、生産性向上や技術高度化につながる可能性がある。
特に中小企業にとっては、最大4分の3という高い補助率が初期投資リスクの緩和に寄与すると考えられる。PoC段階から本格開発へ踏み出す契機となれば、地域産業のデジタル競争力を底上げする効果も期待できる。
一方で、補助対象が2者程度に限られる点は競争を激しくする可能性がある。また、県内GPU拠点のクラウド利用を必須とする条件は、技術選択の自由度を一定程度制約する側面もある。コストや性能要件との整合が課題となる企業も出てくるだろう。
それでも、計算基盤の立地と産業支援策を一体で設計する取り組みは、地方におけるAI活用促進策の一つの方向性を示すものと言える。具体的な成果事例が生まれれば、他地域へ波及する可能性もある。‗華夏がニュースリリース
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