DNPとエフサステクノロジーズ、機密データを安全運用するオンプレAI基盤を提供へ

2025年11月12日、大日本印刷株式会社(DNP)とエフサステクノロジーズ株式会社が、日本国内の官公庁・金融機関・製造業向けにオンプレミス型の生成AIソリューションを共同提供すると発表した。機密データをクラウドに出さずに高度なAI処理を行える点が特徴だ。
機密データを出さない生成AI基盤を両社が共同構築
DNPとエフサステクノロジーズは、オンプレミス環境で生成AIを安全に運用できる共同ソリューションを提供開始した。
DNPが独自開発した「DNP ドキュメント構造化AI(※)サービス」と、エフサステクノロジーズの生成AI基盤「Private AI Platform on PRIMERGY」を統合したもので、機密文書を社内ネットワークから出すことなくAI活用できる構成を取る。
背景には、官公庁や金融業界を中心とするクラウド環境に機密データを置けない制約がある。多くの組織では、膨大な業務マニュアルや技術文書など非構造化データの活用が進まず、業務効率化やナレッジ継承が困難なケースが増えていた。
両社はこれらの課題に対し、文書整形技術とオンプレAI基盤を組み合わせることで、精度とセキュリティを両立させるアプローチを採用したと言える。
また、同基盤はスモールスタートから拡張運用まで対応し、サブスクリプション型の利用モデルも選択可能だ。導入から保守まで一貫して支援するため、企業のAI導入負担の軽減を可能にしている。
※ドキュメント構造化AI:PDFや紙文書などの非構造化データを、AIが解析しやすい形式へ自動変換する技術。検索性向上や知識継承に役立つ。
オンプレAIの普及が加速へ 高度文書活用とDXの波及効果に注目
DNPとエフサステクノロジーズが提示したオンプレミス型の生成AI基盤は、機密データを外部に出さず高度な処理を実行できる点で、公共分野や金融業界の要請に応える設計になっている。
特に、日本企業が長年抱えてきた紙文化や非構造化データの滞留という構造的問題に対し、文書構造化AIが有効に作用する可能性が高い。検索性やナレッジ継承が改善されれば、業務効率の底上げにも直結するため、導入価値は大きいと言える。
メリットは大きい一方、オンプレ運用は初期コストが高く、AIモデル更新のタイミング管理といった運用負荷の課題も残る。ただし、両社が提供する保守一体型モデルが浸透すれば、このハードルは徐々に下がっていくと考えられる。
今後は、医療・教育・自治体といった情報管理が厳格な領域にも展開される可能性がある。
機密性と生産性を両立させる国産のAI基盤が普及すれば、日本企業のDXはクラウド依存から多様な実装へと進み、組織ごとのデータ特性に応じたAI活用が一般化していくだろう。
大日本印刷株式会社(DNP) ニュースリリース
大日本印刷株式会社(DNP) 製品・サービスサイト
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