ソフトバンクとSB Intuitions、国産LLMを商用API化 「Sarashina mini」で企業の生成AI活用を支援

2025年11月5日、ソフトバンクとSB Intuitionsは、国産の大規模言語モデル(LLM)「Sarashina mini」を活用した法人向けAPI接続サービス「Sarashina API」を11月28日より提供開始すると発表した。
日本語性能と軽量性を兼ね備えた国産モデルの商用展開が本格化する。
「Sarashina mini」API、11月28日より法人向け提供開始
ソフトバンク株式会社とSB Intuitions株式会社は、法人向けに国産大規模言語モデル(LLM)「Sarashina mini」を利用できるAPIサービス「Sarashina API」を2025年11月28日に提供開始する。
「Sarashina mini」は、SB Intuitionsが開発した4,600億パラメーター規模の国産LLM「Sarashina」を基に構築された軽量モデルで、日本語の自然な表現や文化的文脈の理解に強みを持つ。
「Sarashina API」は、AIによる文章生成を行う「Chat Completion API(※1)」と、文章の意味を理解して関連情報を抽出する「Embeddings API(※2)」の2機能で構成される。
これにより、企業は自社システムやアプリケーションと連携し、文章の要約・校正、議事録や提案書の自動生成などに活用できる。
また、プログラミング支援や対話型エージェント、マルチエージェントシステムの構築など、幅広い業務の効率化も可能となる。
ソフトバンクとSB Intuitionsは2025年6月から、約2万人のソフトバンク社員を対象にトライアルを実施し、モデルの改良を進めてきた。
今後はコールセンターの自動応答や営業支援ツールなど、より高度な業務領域での応用を予定している。
※1 Chat Completion API:AIが入力された指示に応じて自然な文章を生成する機能。
※2 Embeddings API:テキストを数値化し、意味的な類似性や関係性を分析する技術。
国産LLM活用の拡大へ 企業の生成AI導入を後押し
今回の「Sarashina API」提供開始は、国内企業が日本語環境に最適化された生成AIを導入できる環境を整える動きの一環である。
高精度な日本語処理に加え、企業ごとの業務データやナレッジとの連携が容易になる点は大きな利点だ。
これにより、社内文書の作成や顧客対応、ナレッジ検索など、従来人手に依存していた業務の自動化が加速するとみられる。
一方で、生成AIの導入にあたっては、社内データの安全管理や出力内容の正確性確保といった課題も残る。
特に法人APIでは、セキュリティ要件を満たしながらカスタマイズ性を確保することが不可欠であり、継続的なチューニングが求められるだろう。
総じて、国産LLMの活用範囲が広がれば、生成AI分野での自立的なエコシステム形成が進み、国内のAI産業競争力の強化にも寄与すると期待される。
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