「大学赤本シリーズ」の教学社とみんがく、「赤本AI」実証実験を開始 生成AIで小論文診断を支援

2025年10月31日、大学入試過去問題集「大学赤本シリーズ」を刊行する世界思想社教学社は、教育における生成AI活用を推進する株式会社みんがくと共同で、生成AIを活用した小論文学習支援教材「赤本AI」の実証実験を11月から開始すると発表した。
全国の高校や学習塾を対象に、AIによる小論文診断の有効性を検証する。
全国3〜5校で実証 AIが小論文を自動診断
教学社(京都市)とみんがく(東京都新宿区)は、共同開発した生成AI搭載教材「赤本AI」の実証実験を11月より実施する。
「赤本AI」は、教学社が蓄積してきた入試問題分析の知見と、みんがくの教育AI「スクールAI」を組み合わせた新しい小論文教材である。
実証実験の対象は、全国の高校や学習塾3〜5校、高校1・2年生を中心とした各校10〜15名程度の生徒である。
生徒はAIが提供するフィードバックを受けながら、自身の文章構成や論理展開を客観的に振り返る仕組みを体験する。
結果はアンケートとヒアリングで収集し、教材の改良やAIの精度向上に活用される。
参加校は、教材刊行時に「Special Thanks」として巻末に掲載される予定だ。
スケジュールは、募集期間が10月31日から11月18日、実証は11月26日から12月26日に実施する。
アンケート期間を経て、2026年春の正式発売を目指す。
実験を通じて、AI教材の利便性と安全性を検証する狙いだ。
AIが拓く教育現場の新常識 “書く力”育成の変革点に
「赤本AI」の導入は、従来の小論文教育の在り方に大きな変化をもたらす可能性がある。
これまで添削は指導者の時間や経験に依存していたが、AIを活用することで多くの生徒が同水準のフィードバックを得られるようになる。
特に、地方や小規模校でも質の高い指導を受けやすくなる点は教育格差の是正につながる。
一方で、AIによる評価が定型的になりすぎれば、独創的な表現を伸ばす機会を狭める懸念もある。
こうした課題に対し、教学社とみんがくは実証段階で教師や生徒の意見を重視し、人とAIの協働による最適な添削バランスを模索すると考えられる。
大学入試で思考力や表現力が重視される現在、AIの導入は単なる効率化にとどまらず、学習者の自律的思考を促す教育手法として注目される。
「赤本AI」は、“AIが共に学ぶ教材”という新たな学習文化を生み出す転換点となるかもしれない。
関連記事:
mugendAI、総合型選抜対策AI「アオマル」提供 小論文・面接練習を即時添削

mugendAI、新AIサービス「カコテン」リリース 30秒で大学入試の過去問題を採点・添削












