米玩具大手マテル、動画生成AI「Sora 2」の試験でOpenAIと提携

2025年10月6日、米オープンAIのサム・アルトマン最高経営責任者(CEO)は、米玩具大手マテルと提携し、生成AI動画アプリ「Sora(ソラ)2」に関する試験を行うと発表した。
マテル、AI動画「Sora 2」を試験導入 スケッチから試作映像まで自動化
OpenAIが開発を進める「Sora 2」は、テキストや静止画をもとに短編映像を自動生成する最新の生成AI動画モデルである。
アルトマンCEOは6日のイベントで、玩具大手マテルとの提携を発表。Sora 2に関する試験を行うと明らかにした。
アルトマン氏は「マテルはAPI(※)でSora 2の試験を行い、製品アイデアをより速く具現化するために協力してくれる頼もしいパートナーだ」と述べた。
同氏はまた、本提携を通じてマテルのデザイナーは「スケッチから始めて初期コンセプトを目に見える形に変え、共有して反応を得ることができるようになる」と語った。
マテルはバービーやホットウィールなど人気シリーズのデザインを手がけ、これまで3DモデリングやAR技術を活用して効率化を図ってきたが、今回AIによる動画生成を本格的に取り入れることになる。
※API(アプリケーション・プログラミング・インターフェース):異なるソフトウェア同士をつなぎ、機能を共有する仕組み。AIツールを自社システムに組み込む際に活用される。
AI導入で創造性拡張もリスク管理が課題に
Sora 2は初代Soraに比べて映像品質が大幅に改善されたことから、今回の取り組みは実用レベルでの導入を見据えた試験だと考えられる。
高度なAIが映像化を担うことで、アイデア出しから試作までのサイクルが短縮され、開発の効率化が進むことは間違いないだろう。
加えて、AIの生成結果をきっかけに人間の発想を刺激するなど、創造性の拡張も期待される。
一方で、著作権やブランド表現の統一性といった課題も浮上する。AIが生成した映像が既存デザインや他社IP(知的財産)と類似した場合、その取り扱いをどう定義するかが論点になるだろう。また、AIによる自動化が進むことで、デザイナーの役割や雇用構造にも変化が生じる可能性がある。
とはいえ、AIの導入を前提とした新しい創造モデルは今後、玩具業界だけでなく、ファッションや建築など他分野にも波及する可能性がある。マテルとOpenAIの協業は、生成AIを活用した「創造の民主化」への試金石になると考えられる。
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