日本のデジタル庁はガバメントAI「源内」において、政府職員による国会答弁案の作成を支援する「国会答弁作成支援AIアプリ」のプロトタイプ版を、約18万人の政府職員向けに提供開始した。
国会答弁作成の負担軽減へ AIアプリ試作版を政府職員に提供
国会答弁の作成は、限られた時間内で高い正確性と一貫性が求められ、職員の負担が極めて大きい業務である。社会課題の複雑化により検討事項が増える中、過去資料の検索や情報整理といった定型作業に多大な時間が割かれ、質問の趣旨に応じた分かりやすい答弁を練り上げる時間を十分に確保できないことが長年の懸念とされてきた。
こうした課題に対し、デジタル庁は生成AIを活用した情報の検索や整理、答弁案の作成支援を行う「答弁支援AI(※)」の開発を進めている。開発過程においては16省庁から公募した実務経験豊富な職員102名が評価者として参画した経緯があり、現場の指摘や改善提案は既に一部の機能改修へ反映された。
デジタル庁は第222回臨時国会にてプロトタイプ版を試験導入し、実際の業務を通じた有効性や出力品質の検証を開始した。この検証結果や利用者からの意見を踏まえて必要な改善を行い、来年1月からの通常国会で本格導入をスタートさせる計画である。
※答弁支援AI:デジタル庁がガバメントAI「源内」上で開発を進める、政府職員の国会答弁案作成業務を補助するための生成AIアプリケーション。
業務効率化と質の向上に期待も 誤情報のリスク対策が必須
本アプリの導入により、過密な国会期中における資料検索や文書作成の負担軽減が見込まれる。初期作業の手間が省けることで、職員が政策背景の精査や質疑の趣旨を踏まえた本質的な検討に多くの時間を割ける環境が構築される見通しだ。
一方で、生成AIには事実と異なる情報を生成する「ハルシネーション」のリスクが存在し、出力の正確性が無条件に保証されるわけではない。そのため、AIの出力結果をそのまま採用することはせず、職員自身が根拠資料や政府方針との整合性を十分に検証する運用が強く求められる。
デジタル庁は最終的な政策判断や意思決定をAIに委ねることはないとの原則を示しており、最終的な答弁案の確定や責任は引き続き職員と答弁者が担う方針である。AI活用によるスピード向上と人間による厳格なファクトチェックの両立が、今後の運用の鍵となると言える。
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