国内のTVer、NTTドコモ、データ・ワンの3社は、視聴・会員・購買データを連携する共創に合意したと発表した。
dアカウント連携も検討し、広告視聴から来店・購買までの効果分析とTVerの利用拡大を目指す。
視聴・位置・購買データを連携、6施策を検討
2026年10月26日、TVer、NTTドコモ、データ・ワンの3社は、各社が保有・管理するデータを活用し、TVerの広告事業と利用者基盤の拡大に向けた施策を検討すると発表した。
3社が活用を想定するのは、TVerの配信視聴データ、ドコモのdポイントクラブ会員基盤データ、データ・ワンが管理する小売事業者の購買データだ。
会員基盤データには属性情報や位置情報、dポイント加盟店での決済に関する情報などが含まれる。
広告・データ事業では、視聴傾向と広告視聴後の来店・購買実績を横断的に分析する。業種や商品ごとの評価指標を整え、興味関心や購買特性に応じた広告配信につなげる計画だ。
さらに、TVerと小売事業者側の広告媒体であるリテールメディア(※)の効果を合わせて調べ、番組ジャンルや配信時間帯、広告表現と購買行動の関係を把握する。
利用者拡大に向けては、ドコモが販売するスマートフォンなどの顧客接点を活用する。
dアカウントとの連携を通じた利用者理解の拡大や、視聴頻度の低下などから離脱の兆候を捉えるモデルの構築も検討対象に挙がった。
データ連携にはプライバシーに配慮した安全な環境を準備する方針で、ドコモが第三者へ提供するのは事前に同意を得た利用者の情報に限る。
活用する具体的なデータ項目と範囲は今後協議され、これらの取り組みは実証実験などを通じて具体化する段階にある。
※リテールメディア:小売事業者が保有する店舗、アプリ、ECサイトなどの接点を広告媒体として活用する仕組み。購買データと組み合わせることで、広告接触後の購買実績を分析しやすい点が特徴となる。
広告の成果可視化に期待、同意管理が課題に
この構想の強みは、動画広告の成果を再生回数や視聴完了率だけでなく、実際の来店や購買と結び付けて検証できる可能性にある。
広告主が売上につながりやすい番組や配信条件を見極めやすくなり、予算配分の精度向上が期待できる。
TVerにとっても、広告の価値を具体的な成果で示せれば、広告主との関係強化や収益機会の拡大につながりえる。
ドコモの顧客接点から新たな視聴者を獲得し、利用頻度が落ちた人への働きかけを改善できれば、継続利用の促進にも効果が見込める。
一方、視聴履歴に位置情報や購買実績が組み合わされることへの利用者の不安には慎重な対応が必要だ。
第三者提供への同意を得るだけでなく、何の情報をどの目的で使い、誰が分析するのかを分かりやすく伝えることが、サービスへの信頼を左右するだろう。
また、広告を見た後に商品を購入したという相関だけで、広告が購買を生んだとは断定できない。実証では比較対象の設定や指標の妥当性を確かめ、広告の寄与を慎重に評価する必要がある。
構想が実際の広告商品や利用者向け施策へどこまで発展するかは、今後の検証結果にかかっている。
関連記事:
TVerとフジテレビ、ID決済を開始 FOD連携で支払いを簡素化

伊藤忠と電通がIT・小売で戦略提携 AI時代の総合支援へ

ローソン店頭広告を3000店へ拡大 KDDIらが新会社設立
