阪急電鉄は全線の営業車両で中づり広告の掲出を終了すると発表した。
スマートフォンの普及による情報取得手段の変化を背景に、車内の快適性を高める狙いだ。広告用紙の削減による環境負荷の低減も見込む。
2027年4月4日で掲出終了、年間約83万枚の紙を削減へ
阪急電鉄は2026年10月14日、2027年4月4日の営業終了をもって中づり広告の掲出を終了すると発表した。
他社から乗り入れる車両は対象外で、阪急電鉄全線の自社営業車両が対象となる。
長年にわたり、商品やサービス、イベント、沿線情報などを乗客に伝えてきた車内広告の一つが姿を消す。
背景には、スマートフォンやデジタルメディアの普及に伴う情報との接し方の変化がある。
乗客の車内での過ごし方が多様化するなか、同社は広告を取り外すことで車内の見通しを改善し、落ち着いて移動できる空間を目指す。
同社は、環境面での効果も想定している。2025年度の実績に基づく試算では、年間約83万枚の中づり広告に相当する紙資源の使用を減らせる見込みだという。
同社が進めるカーボンニュートラル運行(※)や省エネルギー化などと並び、資材削減を通じた環境対策に位置付けられる。
※カーボンニュートラル運行:鉄道の運行に伴う二酸化炭素(CO2)の排出量を実質ゼロにする取り組み。再生可能エネルギーの活用などによって排出量の削減を図り、削減しきれない分を適切な手段で相殺する考え方に基づく。
快適性向上に期待、広告主と乗客の接点確保が課題に
今回の決定は、車内を広告の掲出場所としてだけでなく、乗客が過ごす空間として捉え直す動きと言える。
頭上を横切る広告がなくなれば、視界が広がり、車内の印象が変わる可能性がある。紙媒体の制作・掲出に伴う資材消費を抑えられる点も利点だろう。
一方、中づり広告の掲出終了によって、偶然広告を目にする機会は減ると考えられる。
広告主にとっては、移動中の乗客との接点をどのように確保するかが課題となりそうだ。
今後は、車内の快適性と情報提供をどう両立させるかが焦点になるだろう。
デジタル媒体だけでは届きにくい情報もあるため、乗客の利便性を損なわない案内方法が求められそうだ。
阪急電鉄の判断は、鉄道車両における広告の役割を見直す一つの契機となるかもしれない。
阪急電鉄株式会社 社会環境の変化を踏まえ、より快適で開放的な車内空間へ全車両の中吊広告の掲出を終了します
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