ドイツのBMWグループは、Capital Market Day 2026で将来計画を公表した。
AIを開発や生産など全社業務へ広げるとともに、2027年半ばまでに事業部門と関連する管理職を20%削減し、収益性や意思決定速度の向上を目指す。
BMW、AI活用を全社展開
BMWグループは2026年9月30日、厳しい市場環境への対応策として、製品ポートフォリオや生産体制、業務プロセスを見直す計画を示した。
地域ごとの需要に合わせて車種構成や駆動方式を調整し、収益性の高いモデルに重点を置くほか、車種バリエーションも削減する。
中国ではNeue Klasseの投入に合わせて高需要帯の現地生産を拡大し、顧客ニーズに合わせて特別に開発された現地生産車の比率を、2030年までに少なくとも95%にする目標を掲げている。
欧州では2028年にNeue Klasseの技術を採用した新たな小型BEVを投入し、米国ではBMW X7より上位のSAV追加も検討する。
AIは開発、購買、生産、販売、マーケティング、アフターサービスまで幅広く活用するという。
開発ではエージェント型AI(※1)が技術要件の策定から試験、リリースまでを支援し、複雑な情報の分析や定型業務を自動化する構想だ。
Mistralとの衝突シミュレーション協業では、BMWの技術データとAIを組み合わせ、開発の品質と速度、効率の向上を目指す。
生産現場では、デジタルツインやAIによる品質検査、自律搬送などがすでに使われており、今後はデジタルAIエージェントと自律型ロボットを組み合わせたPhysical AIへ発展させる方針だ。
組織面では、2027年半ばまでに事業部門数と関連する管理職数を20%減らし、下位の組織階層でも同程度の削減を行う予定である。
また、同社は2030年代初頭までに自動車部門のEBITマージン(※2)を8〜10%の長期目標レンジへ戻し、2028年には3〜5%を目指している。
※1 エージェント型AI:目的に応じて複数の作業を自律的に進めるAI。BMWは車両開発などで一貫活用を目指している。
※2 EBITマージン:利払い・税金控除前利益(EBIT)が売上高に占める割合で、本業の収益性を示す指標。
AI改革の効果と課題 収益改善の成否が焦点か
今回のAIと組織再編を組み合わせた改革により、単なる省力化ではなく、意思決定や開発の速度を高められる可能性がある。
AI活用と管理階層の簡素化は、BMWが掲げる収益性改善を支える要素となるかもしれない。
一方、管理職や組織階層を大幅に減らせば意思決定が速くなる反面、残る管理職への「権限」や「監督機能の負担」が増大し、責任分担や内部統制に新たな課題が生じる可能性もある。
BMWはAIの結果を開発者が監視、検証、承認する仕組みを示しているが、AI依存による誤った分析やシステム障害が複数の業務へ波及するリスクも無視できないだろう。
今後は、AIを個別業務の補助から企業活動の基盤へ移せるかが重要になりそうだ。
製品の地域化、サプライチェーンの強靱化、AI定義車への移行まで同時に進めることで、BMWの競争力や収益構造がどこまで変わるか、引き続き注目したい。
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