2026年9月29日、石川県能登地域公共交通協議会は、奥能登4市町(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)において共通AIオンデマンド交通システム「のるーとのと」の実証運行を同年10月1日より開始すると発表した。
奥能登4市町が連携 AIオンデマンド交通で広域移動を最適化
石川県企画振興部交通総合対策監室および奥能登4市町(輪島市、珠洲市、穴水町、能登町)は、地域住民や来訪者の移動手段を確保するため、共通AIオンデマンド交通システム「のるーとのと」の実証運行を開始する。
本システムは、利用者がスマートフォンアプリや電話等で事前予約を行い、その要望に応じてAIが最適なルートや運行スケジュールを算出して効率的に移動を提供する仕組みである。前年度に国のモデル事業としてシステム構築が進められてきた。
今回の実証運行では、地域住民における日常的な通院や買物、通学といった移動ニーズへの対応にとどまらず、観光客など外部からの来訪者による移動支援も視野に入れている。広域的な移動をカバーする新たな交通体系としての有効性が検証される方針だ。
本事業の推進にあたっては、国の補助制度である「令和8年度『交通空白』解消等リ・デザイン全面展開プロジェクト(共同化・協業化促進タイプ)」の事業採択を受けている。交付上限額として22,721,490円が設定されており、国からの資金的な支援を活用しながら実証が進められる。
※AIオンデマンド交通:利用者の予約状況に応じて、人工知能(AI)が最適な走行ルートや送迎スケジュールをリアルタイムで算出し、効率的に運行する交通サービスのこと。
交通空白地の解消と地域活性化 持続可能な広域モデル構築へ
過疎化や高齢化が進む地域において、持続可能な公共交通網の再構築は全国的な課題となっている。従来型の路線バスでは効率的な運行が困難になりつつあるなか、予約制で柔軟に運行するオンデマンド型サービスの導入は、交通空白地(※)の解消に向けた大きな前進となるはずだ。
4つの自治体が個別にシステムを導入するのではなく、共通のシステム基盤を構築して協業化を図る点も注目に値する。自治体の枠組みを超えた広域連携を実現することで、運行管理の共通化による費用削減や、広域移動における利用者の利便性向上が期待される。
日常の移動利便性が向上すれば、高齢者の外出機会の創出や生活の質の維持につながる可能性がある。さらに、観光客の移動手段として活用が進めば、地域経済の活性化や周遊性の向上というプラスの効果をもたらすことも考えられる。
一方で、持続可能なサービスとして定着させるためには、デジタルツールに不慣れな高齢者に対する電話予約対応の周知や、導入後の利用実績に基づく適切な車両配置などの柔軟な運用が求められる。国からの支援期間終了後を見据え、どのように収支バランスをとっていくかが今後の実証における焦点となるだろう。
※交通空白地:公共交通機関が整備されておらず、バスや電車などの移動手段を利用することが困難な地域のこと。