SBIトレーサビリティは、油彩画家・大和田いずみ氏の個展にブロックチェーン技術を活用した「SHIMENAWA(しめなわ)」を導入した。アート作品を対象とした導入は同社初となる。
SHIMENAWAをアート作品に初導入 NFCで情報共有
2026年9月16日にSBIトレーサビリティがSHIMENAWAの導入を発表したのは、「大和田いずみ展-色とダンスする」である。東京・銀座の「ギャラリー桜の木」で9月5日から20日まで開催されている。
展示作品一つひとつに専用のNFCタグを設置し、来場者がスマートフォンをかざすことで、専用アプリを使わずブラウザから作品専用詳細ページへアクセスできる仕組みを整えたという。
ページでは、作品の技法やサイズなどの基本情報に加え、作品に込められた想いや制作背景など、会場のキャプションだけでは伝えきれない情報を確認できる。鑑賞者が作品への理解を深めながら展示を楽しめるようにする狙いだ。
さらに、作品購入者には購入作品の詳細情報へアクセスできるNFCタグを作品とともに同封する。購入後も作品名や関連情報などを継続的に参照できるため、展示時だけでなく、所有後の作品情報確認や管理にも利用できる。
SHIMENAWAは、ICタグ(RFID/NFC※)とブロックチェーン技術を組み合わせ、現物資産やカードなどに固有IDを付与して関連情報を一元的に記録・管理するサービスである。
今回はその仕組みをアート分野へ応用した。
今回の導入では、作品と関連するデジタル情報を一体的に管理・共有する運用を実践する。SBIトレーサビリティは、これによりアーティストやギャラリーにおける作品情報の管理手段としての活用や、アート分野における作品価値の伝達につながる可能性を示している。
※NFC:数cm程度の近距離で通信する無線通信規格。対応するICタグとスマートフォンなどの間で情報を読み書きできる。
作品価値の伝達を広げる一方、運用面に課題か
今回の仕組みのメリットは、作品そのものと制作背景、作家の想いなどを継続的に結び付けられる点にあると考えられる。鑑賞時の説明だけでは伝えきれない情報を後から確認できれば、購入後も作品への理解を深める接点を維持しやすくなるだろう。
また、作品情報をデジタルで整理することで、アーティストやギャラリーの情報管理に活用できる可能性もある。将来的には、所有者が変わった場合の情報引き継ぎにも活用できそうだ。
一方、こうした仕組みは、タグと作品の対応関係や登録情報を適切に維持することが前提となる。デジタル情報の更新や管理が不十分であれば、情報を長期的に共有するという利点を十分に生かせない可能性もある。
今後、アート分野で同様の仕組みが広がれば、作品の制作背景や来歴など、従来の展示だけでは伝えにくかった情報を継続的に提供する方法が増えるかもしれない。
ブロックチェーンとNFCを組み合わせ、作品と情報の継続的な関係を構築する新たな運用モデルとして、今後の活用範囲にも注目したい。
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