SBIトレーサビリティは、山梨県北杜市で開催中の「清里フィールドバレエ」にトレーサビリティ・サービス「SHIMENAWA」を活用すると発表した。
NFCタグとブロックチェーンを用い、公演前後の来場者体験をデジタルで拡張する。
NFCタグで公演前後の観劇体験を拡張
2026年8月5日に発表された今回の取り組みでは、萌木の村とB.シャンブルウエストが主催する「清里フィールドバレエ」を舞台に、SBIトレーサビリティの「SHIMENAWA」を活用した来場者向け施策を実施する。
開催期間は2026年7月28日から8月9日までで、同公演が来場者向け体験施策としてNFCタグ(※)を活用するのは初めてとなる。
SHIMENAWAは、ICタグとブロックチェーンを組み合わせ、現物資産などに固有IDを付与して関連情報を管理するサービスである。
これまではブランド保護やトレーサビリティを中心に活用されており、「萌木の村スペシャルウイスキー」のブランド保護にも採用されている。
会場には、ブロックチェーンに紐づけられたNFCタグを組み込んだ「魔法の杖」が設置される。
来場者がスマートフォンをかざすことで、公演に関連したデジタルコンテンツへアクセスできる仕組みだ。
来場時の「Welcome Touch」では、ウェルカムメッセージや当日のキャスト情報、出演者からのメッセージ、自然の見どころ、会場案内などが提供される。
終演後の「Thank You Touch」では、出演者からのお礼メッセージやアンケートを配信し、公演終了後も来場者との接点を設けるという。
※NFC:Near Field Communicationの略。対応する機器同士を近づけることで通信できる近距離無線技術。スマートフォンによる決済や認証、デジタルコンテンツへのアクセスなどに利用されている。
文化イベントの継続接点づくりに期待
今回の施策は、ブロックチェーン技術の用途を「真正性の証明」から「体験価値の向上」へ広げる点で注目できる。
観客は舞台を鑑賞するだけでなく、開演前に出演者や会場への理解を深め、終演後にもメッセージを受け取れるため、公演を時間的に拡張した体験につながる可能性がある。
主催者側にとっても、紙のパンフレットや会場アナウンスとは異なる情報提供チャネルを確保できることはメリットだろう。
アンケートへの導線を組み込めば、来場者の反応を把握し、今後のイベント運営やコンテンツ設計へ反映する手段としても活用できると考えられる。
一方、来場者が実際にスマートフォンをかざすかどうかによって利用率が左右される点は課題になりそうだ。
デジタル施策そのものを目立たせすぎれば、舞台や自然環境を味わうという本来の観劇体験を損なう可能性もあるため、技術を前面に出さない導線設計が重要だと言える。
今後、同様の仕組みが演劇や音楽、展覧会、地域イベントへ広がれば、会場でしか得られないコンテンツとデジタル技術を組み合わせた新たな顧客体験が生まれる可能性がある。
ブランド保護で培われた技術を文化領域でも定着させるには、来場者の満足度や継続的な接点の創出につなげられるかが鍵となりそうだ。
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